コラム

「派閥愛」を語りたがる岸田首相にビジョンはあるか

2022年02月15日(火)18時00分

「まん防」は効いている......負の方向に

「感染症有事対応の抜本的強化」を掲げながら、いくら流行が拡大しても保健所に負荷をかけている疫学調査は続け、陽性となった患者へのファーストタッチを医療機関に任せる体制に移行しようとしない、有事に弱い体制を続けている。濃厚接触者の見直しも後手に回った。

岸田政権の「まん防」は確かに効いている、それも負の方向に。街を出歩く人は減り、飲食店の需要は一気に冷え込んだ。まさに政策の効果だ。だが感染者の増減と大きな関係はないだろう。冷え込ませすぎた対策のツケは国民が支払う。派閥の力学以上に社会に気を配ってほしいところだが、果たして岸田にできるのか。本書を読む限り心もとない。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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