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シリアは熟練兵をロシアに提供か? サウジなど親米国もアメリカと距離を置く姿勢
モスクワでプーチン(右)と固く握手するアサド(昨年9月) SPUTNIK PHOTO AGENCYーREUTERS
<ロシアのウクライナ侵攻に対する中東の反応は複雑。ロシア寄りの国、反ロシアのイスラム過激派、アメリカの同盟国、それぞれ動きを紐解く>
ロシアのウクライナ侵攻は世界に衝撃をもたらした。中東の場合、その影響も反応も複雑だ。
ロシアのウクライナ侵攻を真っ先に支持した国の1つはシリアである。2011年から続く内戦でアサド政権の窮地を救ったのは15年のロシアによる軍事介入だ。一時は国土の3割にまで減らした支配地域をアサド政権は21年には7割まで奪還した。
ロシアはこれにより東地中海に海軍基地を拡張し、ロシア企業に新たな市場をもたらし、アサドとのパートナー関係をより確実なものにした。米ウォールストリート・ジャーナル紙は先日、米当局者筋として、ロシアは市街戦に慣れたシリア人を傭兵としてウクライナ戦に投入しようとしていると報じた。
イランの最高指導者ハメネイは、「米政権は危機をつくり出し、世界中の危機を食い物にしている。ウクライナもその犠牲者だ」と述べ、アメリカは信頼できないと批判した。長年欧米の制裁を受けているイランにとってロシアは戦略的パートナーだ。
1月にはライシ大統領がモスクワを訪問してプーチン大統領と会談した。イランはロシアとの二国間貿易を現在の約40億ドルから100億ドルに引き上げ、原子力発電所プロジェクトでロシアの支援を受けることも目指している。
ウクライナ不安定化は過激派を利する
一方で、イスラム過激派がロシアを主たる敵の1つ、と位置付けていることも忘れてはならない。
ロシアや旧ソ連諸国からはこの10年間に数千人がイスラム過激派組織入りしたとされる。コーカサス地方には「イスラム国」系とアルカイダ系組織が「共存」し、シリアではチェチェン人、コーカサス人、ウズベク人、タジク人が多数派を占めるイスラム過激派組織が活動している。
ウクライナの不安定化は彼らを利することになり、地域の混乱に拍車を掛ける可能性がある。
中東におけるアメリカの同盟国の反応も複雑だ。
国連安全保障理事会のロシアによるウクライナ侵攻非難決議案の採決において、アラブ首長国連邦(UAE)は棄権を選択した。UAEは年初来、イランの支援するイエメンの武装勢力フーシー派から弾道ミサイルやドローンによる攻撃を受け、死者も出ている。
UAEはアメリカに対しフーシー派を再度テロ組織に指定するよう要請したが、バイデン政権の反応は鈍い。トランプ政権はUAEとの間でF35や最新のドローン技術を含む230億ドル相当のアメリカ製兵器の売買契約を成立させたが、UAEはアメリカが課した戦闘機使用の場所や方法についての制限がUAEの主権を侵害するとして、契約締結を中断した。
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