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日本がファイブアイズに自国のプラットフォーム・インテリジェンスを差し出す可能性
英国空軍メンウィズヒル基地の通信傍受施設 REUTERS/Nigel Roddis
<アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組み「ファイブアイズ」に日本が参加すると取り沙汰されているが、参加することの意味を考える>
日本のファイブアイズ参加の厳しい現実
数年前から日本がファイブアイズに参加するという話題が日本国内あるいは海外で出ている。ご存じの方も多いと思うが、ファイブアイズはアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組みである。
日本では河野太郎が繰り返しファイブアイズへの参加意欲を示している(時事通信、2020年10月23日)。最近ではThe Diplomat誌 に「Integrating Japan Into an Expanded 'Five Eyes' Alliance」(2021年4月22日)と題する記事が掲載された。
しかし、独自の対外諜報機関がない、法的な縛りで自由な情報収集がしにくいなど、超えなければならないハードルは高い。重要度の増しているサイバー防衛に関しても諜報関連の課題は山積みである。たとえばサイバー防衛に欠かせないサイバー脅威情報共有にはかなり問題がある。日本とアメリカは軍事同盟関係にあり、2015年から日米の防衛ガイドラインにはサイバー攻撃が含まれている。そのためバランスの取れた脅威情報の共有は両国にとって重要な課題となっていた。また、2013年の日米防衛フレームワークには脅威情報の共有も含まれていた。だが、実際には脅威情報の共有は思ったようには進んでいない。日本が大幅に遅れを取っていることが原因だ。
サイバー諜報で大きな問題を抱える日本
NATO(北大西洋条約機構)のサイバー防衛協力センター(CCDCOE) の資料では、日本の脅威情報共有の課題について厳しく指摘している。この部分のためだけに2年かけて日本を含め80人の関係者や専門家に取材しているだけあって、かなりくわしく調べられている。
サイバー脅威情報の共有の障害となっているものは主に3つで、日本側の問題ばかりである。なお、これを紹介すると、「話を盛ってないか?」と言われることが多いので原文も併記した。見出しでこのレベルで内容はさらに手厳しい。
(i)脅威情報共有のための能力とやる気(the capacity and willingness to share threat intelligence )
(ii)担当と責任の所在の曖昧さ(fuzzy boundaries of responsibility and accountability)
(iii)パートナー(アメリカ)の意図や戦略文化の不完全あるいは不正確な理解(incomplete or inaccurate understanding of partners' expectations and strategic culture)
指摘されている問題点をひとつひとつ紹介するときりがないが、たとえば「NATOや他の国と連携するためにはサイバー攻撃能力についての最低限の理解と透明性が不可欠である」(つまり今の日本は最低限の理解すらしてないし、透明性もない)といった表現が随所にある。
このレポートを見る限り、日本のサイバー脅威情報を共有できる状態に達していない。このような状態では対等な情報共有は難しそうだ。詳細は拙ブログに記載したので関心ある方はご覧いただきたい。また、先日、PwC Japanが公開した「ジオテクノロジー(技術の地政学)とサイバーセキュリティ」の中でこの章の一部が日本語で紹介されている。
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