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リオ五輪を(別の意味で)盛り上げてくれた中東の選手たち
Lucy Nicholson-REUTERS
<自国選手団があるのに難民選手団の一員として参加した選手、「イスラーム的」服装で異彩を放ったビーチバレー・チーム、ユニフォームの胸に「アリーよ」と宗教的メッセージが書かれていた選手......。禁止されてはいても、政治的・宗教的な話題はオリンピックには欠かせなかった> (写真:女子ビーチバレーのエジプト対ドイツ戦、8月7日)
リオ・オリンピックでの日本人選手の活躍もあり、メディアは連日大騒ぎだったが、リオでは中東諸国の選手たちもいろいろな意味でがんばっていたようだ。さすが中東諸国だけあって、競技そのものよりも、政治的・宗教的な話題で盛り上げてくれた。
オリンピック憲章には、オリンピック競技の行われる場所ではいかなる政治的・宗教的・人種的プロパガンダも許されないと明記されている。とはいえ、オリンピックが国威発揚の場であるのは否定しようがないので、これまでも政治的プロパガンダの場として利用されつづけてきた。もっとも有名なのはメキシコ・オリンピックで米国の黒人選手2人が表彰台で黒人差別に抗議した事例であろう。また、ミュンヘン・オリンピックではパレスチナ・ゲリラがイスラエル選手団を襲撃するといった事件も発生した。
リオの場合でも、オリンピックがはじまるまえからテロ組織イスラーム国(IS)の脅威が懸念されており、実際、ブラジルからISのリーダー、バグダーディーに忠誠を誓うというアラビア語声明(下記)が出されるなど、不穏な空気もただよっていた。
【参考記事】ブラジルの過激派がISISに忠誠誓う、南米で初めて
いざ、リオ・オリンピックがはじまると、すぐに中東ではスポーツが政治や宗教と不可分であること思い知ることになる。たとえば、内乱中のシリアは自国選手団を派遣したが、その一方でシリアからの難民も、難民選手団の一員としてオリンピックに参加していたのである。競泳バタフライ100メートルに出場した、ベルリン在住のユスラー・マールディーニーは日本のメディアでも取り上げられたのでご記憶の人もいるのではないだろうか。
また、女子競技でいえば、中東諸国の女性アスリートの「イスラーム的」服装が話題になったのはそのひとつである。とくに、肌の露出が多い女子ビーチバレーでは、頭にヒジャーブ(髪の毛を隠す覆い)、長袖、長いレギンスを着用したエジプト・チームが異彩を放ち、ビキニ姿の相手と対戦中の写真を見ると、とても同じ競技をやっているようにみえないほどであった(冒頭の写真)。
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