ニュース速報
ワールド

トランプ氏、FTC民主党系2委員を解任 規制当局の独立性に試練

2025年03月19日(水)11時23分

 3月18日、米連邦取引委員会(FTC)の民主党系委員2人が、トランプ大統領によって違法に解任されたと述べた。米首都ワシントンで17日、代表撮影(2025年 ロイター)

Jody Godoy

[ニューヨーク 18日 ロイター] - トランプ米大統領は18日、連邦取引委員会(FTC)の民主党系委員2人を解任した。民主党などからは、大企業に厳しい姿勢を取る委員を排除するための措置だと反発が出ている。

ホワイトハウス当局者は民主党系のアルバロ・ベドヤ委員とレベッカ・ケリー・スローター委員の解任を認めたが、それ以上のコメントは控えた。

両氏は解任撤回を求めて提訴する方針だ。ベドヤ氏はXに「これは明白な腐敗だ」と投稿。スローター氏は声明で「(トランプ)大統領は私をFTC委員から違法に解任し、法律の文言と最高裁の明確な先例を無視した」と述べた。

民主党のクロブシャー上院議員(ミネソタ州)は「FTCを違法に骨抜きにすれば、詐欺師や独占企業を利するだけで、消費者がその代償を払うことになる」と批判した。

FTCは消費者保護法や独占禁止法を執行する機関で、5人の委員のうち同じ政党からは3人までしか選べない超党派の構造となっている。

共和党系のファーガソンFTC委員長は18日、委員を解任するトランプ大統領の憲法上の権限に「疑う余地はない」とし、「政府の民主的な説明責任を確保するために必要だ」と述べた。

トランプ氏が3人目の共和党系委員に指名したマーク・メダー氏はまだ上院で承認されていない。政権が解任した民主党系2委員の後任を指名するかどうかは不明だ。FTCは委員2人のみで提訴などの決定を下すことができる。

トランプ氏は既に全米労働関係委員会(NLRB)など他の独立機関の委員を解任し、訴訟に発展している。

米最高裁は1935年、FTC委員は職務怠慢など正当な理由がある場合のみ解任できるとする法律を支持する判決を下した。この判決により、超党派の複数委員で構成する多数の独立機関はホワイトハウスによる直接的な統制から守られている。

しかし、トランプ氏は先月、独立機関に対するホワイトハウスの統制を強める大統領令に署名した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀、国債減額ペースで慎重意見 金利上昇

ワールド

トルコ大統領の政敵を拘束、「クーデター」と野党反発

ビジネス

やや強めの賃金・物価と不確実性高まる海外、双方見極

ビジネス

インドネシア中銀、予想通り再び金利据え置き なお追
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層
  • 4
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 5
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量…
  • 7
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 10
    51年ぶりに上陸...サイクロン「アルフレッド」がオー…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中