ニュース速報
ワールド

ロシアとウクライナ、インフラ攻撃と互いに非難 米ロ首脳会談後

2025年03月19日(水)16時22分

 ウクライナのゼレンスキー大統領(写真)は、ロシアが18日夜に40機以上のドローン(無人機)で民間インフラを攻撃したとし、平和のためにプーチン大統領に圧力をかけ続ける必要があることが示されたと述べた。3月15日、キーウで撮影(2025年 ロイター/Thomas Peter)

[19日 ロイター] - ウクライナでの限定的な停戦にロシアのプーチン大統領が合意してわずか数時間後、ロシアとウクライナは空爆により火災が発生し、インフラが損傷したと互いに非難した。

プーチン氏は18日、トランプ米大統領と電話会談を行い、ウクライナのエネルギー施設やインフラに対する攻撃を30日間停止することで合意した。米国が提示する広範な停戦案は受け入れなかった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、エネ施設を巡る限定的な停戦案を支持。しかし、ロシアが19日未明に空爆を開始すると、戦争を長期化させるロシアの試みを阻止するよう世界に呼びかけた。

ウクライナのイェルマーク大統領府長官は「ロシアは今まさに、民間インフラと民間人を攻撃している」と夜間にテレグラムに投稿した。

北東部スムイの当局者は、ロシアのドローン(無人機)攻撃により2つの病院が被害を受けたと発表。負傷者は出ていないが、患者と病院スタッフが避難を余儀なくされたという。

また、キーウ州のカラシュニク知事は19日未明、ロシアのドローン攻撃で、60歳の男性が負傷し、数軒の家屋が破損したと発表した。

<「ドローン72機撃墜」とウクライナ>

ゼレンスキー大統領は、ロシアが18日夜に40機以上のドローンで民間インフラを攻撃したとし、平和のためにプーチン大統領に圧力をかけ続ける必要があることが示されたと述べた。

「ロシアによるこうした夜間攻撃こそが、われわれのエネルギーシステム、インフラ、そしてウクライナ国民の日常生活を破壊している」とテレグラムに投稿した。

「プーチン氏はきょう、全面停戦案を事実上拒否した。世界がこれに対し、戦争を長引かせようとするプーチン氏のいかなる試みも拒否するのが正当だ」と述べた。

ウクライナ軍は19日、ロシアが夜間攻撃で発射したドローン145機のうち72機を撃墜したと発表。さらに、電子戦兵器で56機を制御不能にしたと付け加えた。

ロシアの攻撃はスムイ、オデーサ(オデッサ)、ポルタバ、ドニプロペトロウシク、キーウ、チェルニーヒウの各州に影響したという。

<「ドローン57機破壊」とロシア>

一方、ロシア国防省は、夜間にウクライナのドローン57機を破壊したと発表。そのうち35機は国境沿いのクルスク州で破壊されたという。同省はウクライナが何機発射したかについては明らかにしていない。

ロシア南部クラスノダール州の当局者は19日未明、ウクライナのドローンによる攻撃で、石油貯蔵施設で小規模な火災が発生したと発表した。

火災による負傷者は出なかったが、20平方メートルにわたって延焼し、従業員30人が避難したという。

ロシアのテレグラムチャンネル「SHOT」は、工業地帯とみられる場所で夜間に発生した火災の動画を投稿。カフカスカヤ石油積み替え拠点は重要な施設だと伝えている。

ロイターはSHOTの報道を独自に確認できなかった。

ロシア航空当局によると、いずれもモスクワの東数百キロに位置するカザン、ニジニノブゴロド、ニジネカムスクの各空港からのフライトが夜間に数時間停止。理由には触れられていないが、通常はドローンによる攻撃の報告があった場合に運航を停止している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀、国債減額ペースで慎重意見 金利上昇

ワールド

トルコ大統領の政敵を拘束、「クーデター」と野党反発

ビジネス

やや強めの賃金・物価と不確実性高まる海外、双方見極

ビジネス

インドネシア中銀、予想通り再び金利据え置き なお追
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層
  • 4
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 5
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量…
  • 7
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 10
    51年ぶりに上陸...サイクロン「アルフレッド」がオー…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中