ロシアとウクライナ、インフラ攻撃と互いに非難 米ロ首脳会談後

ウクライナのゼレンスキー大統領(写真)は、ロシアが18日夜に40機以上のドローン(無人機)で民間インフラを攻撃したとし、平和のためにプーチン大統領に圧力をかけ続ける必要があることが示されたと述べた。3月15日、キーウで撮影(2025年 ロイター/Thomas Peter)
[19日 ロイター] - ウクライナでの限定的な停戦にロシアのプーチン大統領が合意してわずか数時間後、ロシアとウクライナは空爆により火災が発生し、インフラが損傷したと互いに非難した。
プーチン氏は18日、トランプ米大統領と電話会談を行い、ウクライナのエネルギー施設やインフラに対する攻撃を30日間停止することで合意した。米国が提示する広範な停戦案は受け入れなかった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、エネ施設を巡る限定的な停戦案を支持。しかし、ロシアが19日未明に空爆を開始すると、戦争を長期化させるロシアの試みを阻止するよう世界に呼びかけた。
ウクライナのイェルマーク大統領府長官は「ロシアは今まさに、民間インフラと民間人を攻撃している」と夜間にテレグラムに投稿した。
北東部スムイの当局者は、ロシアのドローン(無人機)攻撃により2つの病院が被害を受けたと発表。負傷者は出ていないが、患者と病院スタッフが避難を余儀なくされたという。
また、キーウ州のカラシュニク知事は19日未明、ロシアのドローン攻撃で、60歳の男性が負傷し、数軒の家屋が破損したと発表した。
<「ドローン72機撃墜」とウクライナ>
ゼレンスキー大統領は、ロシアが18日夜に40機以上のドローンで民間インフラを攻撃したとし、平和のためにプーチン大統領に圧力をかけ続ける必要があることが示されたと述べた。
「ロシアによるこうした夜間攻撃こそが、われわれのエネルギーシステム、インフラ、そしてウクライナ国民の日常生活を破壊している」とテレグラムに投稿した。
「プーチン氏はきょう、全面停戦案を事実上拒否した。世界がこれに対し、戦争を長引かせようとするプーチン氏のいかなる試みも拒否するのが正当だ」と述べた。
ウクライナ軍は19日、ロシアが夜間攻撃で発射したドローン145機のうち72機を撃墜したと発表。さらに、電子戦兵器で56機を制御不能にしたと付け加えた。
ロシアの攻撃はスムイ、オデーサ(オデッサ)、ポルタバ、ドニプロペトロウシク、キーウ、チェルニーヒウの各州に影響したという。
<「ドローン57機破壊」とロシア>
一方、ロシア国防省は、夜間にウクライナのドローン57機を破壊したと発表。そのうち35機は国境沿いのクルスク州で破壊されたという。同省はウクライナが何機発射したかについては明らかにしていない。
ロシア南部クラスノダール州の当局者は19日未明、ウクライナのドローンによる攻撃で、石油貯蔵施設で小規模な火災が発生したと発表した。
火災による負傷者は出なかったが、20平方メートルにわたって延焼し、従業員30人が避難したという。
ロシアのテレグラムチャンネル「SHOT」は、工業地帯とみられる場所で夜間に発生した火災の動画を投稿。カフカスカヤ石油積み替え拠点は重要な施設だと伝えている。
ロイターはSHOTの報道を独自に確認できなかった。
ロシア航空当局によると、いずれもモスクワの東数百キロに位置するカザン、ニジニノブゴロド、ニジネカムスクの各空港からのフライトが夜間に数時間停止。理由には触れられていないが、通常はドローンによる攻撃の報告があった場合に運航を停止している。