ユーロ圏財務相会合、米の仮想通貨振興策巡る懸念相次ぐ

3月10日、欧州連合(EU)が開いた暗号資産(仮想通貨)について話し合うユーロ圏財務相会合の出席者からは、トランプ米新政権が進める仮想通貨振興策がユーロ圏の主権や金融の安定性に影響するのではないかと懸念する声が相次いだ。写真は暗号通貨を購入できるATM。スペインのマドリードで撮影(2025 ロイター/Violeta Santos Moura)
[ブリュッセル 10日 ロイター] - 欧州連合(EU)が10日に開いた暗号資産(仮想通貨)について話し合うユーロ圏財務相会合の出席者からは、トランプ米新政権が進める仮想通貨振興策がユーロ圏の主権や金融の安定性に影響するのではないかと懸念する声が相次いだ。
トランプ氏は大統領選の期間中から仮想通貨を支持し、大統領就任後に仮想通貨の利用を推進する大統領令に署名。仮想通貨を国家備蓄とする構想も打ち出している。
ユーロ圏財務相会合のパスカル・ドノホー議長はトランプ政権のこうした取り組みを念頭に「他国の政策動向は欧州にも重要な影響を及ぼし得る。こうした議論はわれわれ欧州の自治権や通貨ユーロの回復力に根本的に関わる」と指摘。流れに先駆ける上で欧州中央銀行(ECB)が進めるデジタルユーロの創設が極めて重要になっているとの認識を示した。
ユーロ圏の救済基金「欧州安定メカニズム(ESM)」のトップを務めるルクセンブルクのピエール・グラメーニャ財務相も「今回の議論で明らかになったのは、この件は欧州の主権にも関わる問題だということだ」と述べ、米国の仮想通貨の利用拡大に伴って米国などのIT大手が仮想通貨、特にドル建てのステーブルコインなどで大規模な決済システムを立ち上げ、欧州にも影響が波及する懸念があると指摘した。