トランプ政権、イラン産原油タンカーの海上検査を検討=関係筋

トランプ米政権は大量破壊兵器の拡散防止を目的とした国際協定に基づき、イラン産原油を輸送するタンカーを海上で検査する計画を検討している。イラン船舶からの原油受け渡し、ギリシャ沖で2022年撮影。(2025年 ロイター/Costas Baltas/File Photo)
Jonathan Saul Jarrett Renshaw
[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米政権は大量破壊兵器の拡散防止を目的とした国際協定に基づき、イラン産原油を輸送するタンカーを海上で検査する計画を検討している。関係筋がロイターに明らかにした。
関係筋によると、国家安全保障会議(NSC)がマラッカ海峡など海上交通の要所を航行する船舶を同盟国が停止・検査する方法を検討している。この計画が実現すれば、取引に関与する組織は制裁を受ける可能性がある。
関係者の1人は「リスクを冒す価値がないと思わせる抑止効果を生み出すため、実際に船を沈没させたり拿捕(だほ)したりする必要はない」と語った。また、「輸送を遅延させれば、違法取引ネットワークに不確実性をもたらす」と指摘した。
米国は2003年に大量破壊兵器の拡散防止のための安全保障構想(PSI)を発表し、100カ国以上が参加した。
ある関係者は、この仕組みを活用することで外国政府が米国の要請に応じてイランの原油輸送を標的とし、同国の主要な収入源である供給網に打撃を与えられる可能性があると述べた。
米国がすでに外国政府に協力を打診しているかや、これらの国が協力に同意するかどうかは明らかでない。
しかし、イランに対する締め付けを強めれば、同国の報復を招き、原油価格が上昇する恐れもある。
米テキサス大学エネルギー環境システムセンターのエネルギーアナリスト、ベン・ケーヒル氏は、「原油価格が1バレル=75ドル以下であれば、米政権が制裁措置を検討する余地が広がるが、92ドルになったらはるかに困難になる」と語った。
同氏は米国の制裁強化により、短期的にはイランの輸出が日量約75万バレル減少する可能性があると述べた。しかし、制裁が長期化すればイランや輸入国が回避策を見つけ出すため、制裁の効果は徐々に薄れると予想した。