仏大統領、欧州への核の傘拡大検討を示唆 米政権への懸念認める

フランスのマクロン大統領は5日、ロシアは欧州全体にとって脅威であるとし、フランスの核の傘を欧州の同盟諸国に拡大することについて議論する用意があると述べた。同日撮影(2025年 ロイター/France Televisions/Handout via REUTERS)
Ingrid Melander Michel Rose
[パリ 5日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は5日、ロシアは欧州全体にとって脅威であるとし、フランスの核の傘を欧州の同盟諸国に拡大することについて議論する用意があると述べた。国民向けの演説で明らかにした。
欧州の核保有国はフランスとイギリスのみ。
マクロン大統領は「われわれの核抑止力はわれわれを守っている。それは完全で、主権を持ち、徹底的にフランスのものだ」と強調。「しかし、将来のドイツ首相の歴史的な呼びかけに応えて、われわれの(核)抑止力を通じて欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を始めることを決定した」と語った。
次期ドイツ首相への就任が見込まれる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、北大西洋条約機構(NATO)が6月まで「現在の形態」を維持するかどうか疑問視し、核防衛拡大についてフランスと英国との協議を求めた。
マクロン大統領はロシアとトランプ米政権による国際秩序の転覆に対する国民の懸念を認め、フランスは防衛費を増やす必要があり、ウクライナへの支援を続けると明言。ロシアの脅威を前に「傍観して何もしないのは正気の沙汰ではない」とした。
また、米国が「われわれの側に留まる」と信じたいとしながらも、それが事実でなくなった場合に備えて欧州は備えていなければならないとも述べた。
さらにフランスは核抑止力のおかげで欧州で独自の立場にあると強調し、その防衛力を欧州同盟国に拡大することについて議論する用意があると述べた。核兵器に関する最終決定はフランス大統領の手に委ねられるとした。
防衛支出の増額幅は明らかにしなかった。増額のための増税は行わないが、厳しい選択を迫られるとの見通しを示した。
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