米政府、インドに輸入車向け関税の撤廃を要求へ=消息筋

米政府はインドとの二国間通商交渉で同国に対し、現在最高で110%に設定されている輸入車向け関税の撤廃を求める方針だ。写真はインドのグジャラートで17年撮影。(2025年 ロイター/Amit Dave/File Photo)
Shivangi Acharya Aditi Shah
[ニューデリー 5日 ロイター] - 米政府はインドとの二国間通商交渉で同国に対し、現在最高で110%に設定されている輸入車向け関税の撤廃を求める方針だ。だがインド政府は関税の引き下げを検討するとしても、早期の撤廃には難色を示している。事情に詳しい複数の消息筋がロイターに語った。
交渉次第では、インドでの事業展開を計画している米電気自動車(EV)大手テスラに参入の道が切り開かれる。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はインドの輸入車向け関税が世界でも最高水準の部類に入ると非難してきた。
トランプ米大統領は4日の施政方針演説で、100%を超えるインドの輸入車向け関税を糾弾。相互関税を課す意向を表明した。
関係者の1人は「米国のインドに対する要求は、農産物を除く大半の部門で関税をゼロもしくは極めて低い水準に設定することだ」と述べ、輸入車向け関税は撤廃を想定していると付け加えた。
別の関係者は、インドは「米国の主張に耳を傾ける」一方で、反発はしなかったと指摘。国内の産業界と相談した上で、米国に方針を回答するだろうと話した。
米国とインドは先月、トランプ大統領とモディ首相の会談を受け、関税を巡る論争を決着させることなどで合意した。2030年までに二国間貿易を5000億ドル規模に増やすことを目指す。
関係者の話では、インド政府は輸入車向け関税をゼロに引き下げる米国の要求に早期には応じないとみられるが、国内の自動車業界に関税の引き下げと競争に備えるよう促してきた。
政府は先月、関税引き下げについて判断するため国内自動車メーカーと協議の場を持ち、関税が即座に撤廃されることへの不安を理解したという。