トランプ氏、パナマ運河「奪還」称賛 米連合の運営権買収で

3月4日、米大統領はパナマ運河の港湾運営権を米資産運用大手ブラックロックが主導する投資家連合が取得することに歓迎の意を示した。写真は2月1日、パナマ運河で撮影(2025年 ロイター/Enea Lebrun)
Clare Jim Scott Murdoch
[5日 ロイター] - トランプ米大統領は4日、パナマ運河の港湾運営権を米資産運用大手ブラックロックが主導する投資家連合が取得することに歓迎の意を示した。
香港企業CKハチソン・ホールディングス(長江和記実業)が4日、運営権の売却に同意した。
トランプ氏は、施政方針演説で「わが政権はパナマ運河を取り戻すことになり、すでにそれを始めている」と表明。「今日、アメリカの大企業がパナマ運河の(太平洋側の入り口と大西洋側の入り口にある)両方の港などを買収すると発表した」と述べた。
これに対し、パナマのムリノ大統領は5日、Xへの投稿でトランプ大統領が「またうそをついている」と指摘。パナマ運河はパナマのものであり、返還の過程にあるわけではないと述べた。
パナマ運河は米国が大部分を建設し、完成後に管理権を持っていたが、99年にパナマに全面返還した。トランプ氏は、米国の船舶が高額な通航料を負担していることを批判し、1月の就任演説でパナマ運河を「取り戻す」と表明した。
運河施設の運営を香港企業が担っていたことも、中国に絡む安全保障リスクと指摘されていた。
JPモルガンは、今回の運営権売却について、CKハチソンの他の港のほとんどが米中間の地政学的緊張に直接関係する地域にないことを考えると「驚き」だとした上で、「われわれが理解するところのCKハチソンの経営理念に基づくと、『適正な価格』であれば、いかなる取引も可能だ」と指摘した。
港湾資産売却によってCKハチソンが受け取る金額は190億ドルとなる見込みでアナリストの評価額の130億ドルを大きく上回る。
UBSのアナリストは、CKハチソンの純債務は6月時点で1380億香港ドル(177億6000万ドル)で、売却益によってキャッシュフローがプラスになる可能性があると指摘した。
CKハチソンの共同マネージング・ディレクター、フランク・シクスト氏は声明で、「今回の取引は純粋に商業的なものであり、パナマ港に関する最近の政治ニュースとはなんら関係がないことを強調したい」と説明した。