米厚生省、パブリックコメントを原則廃止へ 「効率的運営に反する」
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3月2日、米厚生省は、同省の運営や施策に関するパブリックコメント(意見公募)を取りやめる。ケネディ長官(写真)の「徹底した透明性」という指名公聴会で示した方針とは相反する動きとなる。写真は米ワシントンで1月撮影(2025 ロイター/Nathan Howard)
(本文中に語句を補って再送します)
Ahmed Aboulenein Julie Steenhuysen Michael Erman
[ワシントン 28日 ロイター] - 米厚生省は、同省の運営や施策に関するパブリックコメント(意見公募)を取りやめる。ケネディ長官の「徹底した透明性」という指名公聴会で示した方針とは相反する動きとなる。
3月3日に正式発表される。28日に連邦官報に掲載された文書によると、省の運営・人事、公共財産、融資、助成金、福利厚生、契約など法的義務のない問題について意見公募を取りやめる。
また、厚生省が「実行不可能、不必要、公共の利益に反する」と判断した場合にも意見公募の手続きを飛ばす裁量を持つとした。
厚生省は、パブリックコメントの義務は「省と公衆に負担を与え、省の効率的な運営に反し、法的・政策的要請に迅速に対応する柔軟性を阻害する」と述べた。
厚生省の各機関は一般から意見を募集する裁量権は保持するが、法律で義務付けられている場合を除き、パブリックコメント手続きを取る義務はなくなる。
パブリックコメントについては、産業界が規制制定を遅らせるために利用されているとの批判も出ており、専門家の間では、今回の方針を支持する声もある。ブッシュ政権で食品医薬品局(FDA)の主任法律顧問を務めたダン・トロイ氏は、ルール作りに一般市民が参加することには価値があるものの、時間と費用がかかり過ぎると指摘し、今回の方針は効率性向上につながると述べた。
一方、ハーバード大学法科大学院医療法・政策革新センター(CHLPI)のカーメル・シャシャール氏は、一般市民の意見を制限することは、現実世界の懸念を反映しない政策決定につながる可能性があると指摘した。ジョージタウン大学のローレンス・ゴスティン法学部教授は、通知とコメントの廃止は国民の信頼を損ない、法の監視を弱めることになると警告した。