ベネズエラでインフレ加速か、米石油事業認可撤回で
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トランプ米大統領がベネズエラでの米石油企業の事業免許を取り消した影響で、同国が外貨不足に陥り、ドル高ボリバル安が進み物価がさらに高騰する可能性がある。写真はカラカスのガソリンスタンドの資料写真。2017年11月撮影(2025年 ロイター/Marco Bello)
[27日 ロイター] - トランプ米大統領がベネズエラでの米石油企業の事業免許を取り消した影響で、同国が外貨不足に陥り、ドル高ボリバル安が進み物価がさらに高騰する可能性がある。複数のエコノミストが27日、明らかにした。
ベネズエラの調査機関OVFのエコノミストは「認可停止で産油量が減少し、石油産業でのサービス需要も減少する。ロイヤルティー(採掘権料)や税収入も落ち込む」と指摘した。
同国の調査会社エコアナリティカのアナリストによると、2024年の同国の石油収入は約154億ドルだった。このうち30%は米石油大手シェブロンやベネズエラ国営石油PDVSAと提携する外国企業によるもので、免許取り消しに伴う損失は40億─45億ドルになるという。
ベネズエラのシンクタンク、シンテシス・フィナンシエラによれば、シェブロンは昨年、同国の為替市場で取引されたドルの3分の1(24億ドル相当)をもたらした。事業認可停止で同国は外貨不足となり、昨年48%だったインフレ率は80%まで上昇する可能性があるという。
英投資銀行バンクトラストのアナリストは27日付の顧客向けメモで、トランプ氏の発表について「ベネズエラからの不法移民の強制送還を加速するための脅しかもしれない」とした上で「非常に予測不可能で、交渉がどう転がるか明確になるまで、金融市場の重荷となるだろう」と予想した。