北朝鮮、韓国との経済協力合意を全て破棄 関連法廃止

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は2月8日、同国の国会に当たる最高人民会議が韓国との経済協力推進に関する合意を全て破棄することを決議したと伝えた。1月15日、平壌で撮影されたKCNA提供写真(2024年 ロイター)
[ソウル 8日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、同国の国会に当たる最高人民会議が韓国との経済協力推進に関する合意を全て破棄することを決議したと伝えた。
金剛山観光事業の運営に関する特別法など韓国との経済関係について定めた法律の廃止も決議した。
同観光事業は2000年代初めに始まった経済協力の象徴で、約200万人の韓国人が訪れた。だが、制限区域に入った韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺されたことを受け、08年に中断された。
北朝鮮は韓国を敵国と見なすと表明しており、18年の南北軍事合意に基づき停止していた全ての軍事措置を再開する方針を昨年明らかにした。
KCNAはまた、金正恩朝鮮労働党総書記が消費財や食品を生産する工場を7日に視察し、新たな地域開発政策の一環として施設の近代化について指導したと報じた。
韓国の尹錫悦大統領は、北朝鮮の政策転換は「極めて大きな変化」と指摘し、こうした動きの背景にある考えを理解するのは難しいと述べた。韓国国営放送KBSが事前収録のインタビューを7日に報じた。
「変わらないのは北が70年以上にわたってわれわれを共産主義者に変えようとしてきたことであり、その間に通常兵器では不十分だと認識して核開発を始めた」と述べた。
北朝鮮に強硬姿勢で臨んできた尹氏は、金氏との首脳会談を含め今後も関与を続けるとし、同国への経済支援にも前向きだと述べた。ただ、北朝鮮指導部は「理性的な集団ではない」と指摘した。
韓国統一省の当局者は今回の北朝鮮の決定について、驚きではなく、孤立を深めるだけだと指摘。一方的な措置は認めないと述べた。
KCNAは、16年から稼働を中断している南北経済協力事業「開城(ケソン)工業団地」に関する特別法には言及していない。