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米FRB高官、関税の影響見極めへ 政策変更見通しに相違も

2025年04月25日(金)09時21分

米連邦準備理事会(FRB)は4月24日、トランプ政権の関税政策が経済に及ぼす影響を見極めるため、さらなる情報を求めており、金融政策の変更は急がないとの考えを示した。2022年6月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Sarah Silbiger)

Michael S. Derby

[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は24日、トランプ政権の関税政策が経済に及ぼす影響を見極めるため、さらなる情報を求めており、金融政策の変更は急がないとの考えを示した。

ウォラー理事はブルームバーグのインタビューで、関税が経済にどのような影響を与えているかについてFRBが明確な見通しを得るには今年後半までかかると述べた。

大型関税の一部が夏まで延期された点に言及し「7月以降まで、実際のデータで目立った変化が見られるとは思えない。今年後半になれば、政権が検討している関税により何が起こるのか、明確な見通しが得られるようになるだろう」と述べた。

関税は物価上昇圧力に一時的な影響を与えるものだとの見解を繰り返し、その通り作用してインフレが持続しなければ、政策対応する必要はないだろうと述べた。

その一方で、一時的とみられていたインフレ高騰がそうではなかったという新型コロナ禍の経験を踏まえると、「一過性だと信じて物価上昇をやり過ごすのは勇気がいることだ」とも指摘した。

さらに、経済が急速に弱くなれば、金融政策の計算も変わるだろうと説明。失業率や成長見通しの悪化、個人消費の落ち込みが始まったと考えるようになれば対応する用意があるとし、「インフレが一過性のものなのかどうかを見極めるために、座して待つつもりはない」と述べた。

<少しの忍耐>

FRB高官の多くはここ数週間、景気に対する関税の影響を見極めるための情報を入手するまで、金融政策の面で忍耐強くあるべきと示唆してきた。さらなる問題は、トランプ大統領による不規則な関税政策で、主要な措置の一部は金融市場の動揺した後、一時的に停止されている。

金融市場では、FRBが現在4.25─4.5%のフェデラルファンド金利を年内に引き下げると広く予想されている。インフレ率上昇と景気低迷では政策対応が異なることから、FRBはインフレと雇用のどちらを優先するか判断することになる。

クリーブランド地区連銀のハマック総裁はCNBCのインタビューで、不確実性が高い状況下で、FRBは金融政策を巡り忍耐強く対応する必要があるとの考えを示した。ただ、行動を起こす必要が経済指標で示されれば、6月までに金融政策が変更される可能性を排除しないと述べた。

「忍耐強くあり続けるべきなのか、行動を起こすべきなのか、経済指標を注視しながら全ての会合にオープンな姿勢で臨んでいる」とした上で、「6月までに明確で説得力のある経済指標が得られ、その時点で正しい方向性が分かっている場合、連邦公開市場委員会(FOMC)は行動を起こす」と述べた。

ただ、5月6─7日の次回FOMCで利下げが決定される可能性については「来月の金利政策変更は時期尚早」とし、否定的な考えを表明。「今は正しい方向に進んでいるか確認する時期で、忍耐が必要だ」とし、経済情勢を時間をかけて見極めていく姿勢を示した。

ロイター
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