トランプ氏、重要鉱物の生産拡大へ緊急権限発動 大統領令に署名

3月20日、トランプ米大統領(写真右)は、重要鉱物の国内生産を拡大し、中国による同分野の支配を抑制することを目指す大統領令に署名した。2024年9月、場所はニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
Jarrett Renshaw Jeff Mason
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、経済全般で広く使用される重要鉱物の国内生産を拡大するため、緊急権限を発動した。鉱物資源分野における中国の支配力を抑制する取り組みの一環。
中国は多くの重要鉱物で世界最大の生産・加工国となっている。リチウム、ニッケルなどの重要鉱物は多くの電子機器に使用されており、今後数年間で電気自動車(EV)用電池の生産向けに需要が急増するとみられている。
トランプ氏は一連の重要鉱物の国内での加工に資金や融資などの支援を提供するため、冷戦時代に制定された国防生産法(DPA)を活用する大統領令に署名した。
DPAは国防に必要な装備品の調達で国防総省に広範な裁量を与えており、同法を活用することは基本的に、ライバル国への重要鉱物依存が国家安全保障上の脅威となると宣言することになる。
トランプ氏は大統領令の中で「米国はかつて、収益性の高い鉱物の世界最大の生産国だったが、連邦政府の過度な規制が国内の鉱物生産をむしばんできた」と述べた。
大統領令は連邦政府機関に対し、迅速に承認できる鉱業プロジェクトや、国防総省が管理する土地を含めて鉱物処理に利用できる連邦政府の土地に関するリストを作成するよう指示している。
米国は現在、リチウムとニッケルをほとんど生産していない。唯一のコバルト鉱山は昨年、中国との激しい競争により閉鎖された。
大統領令はまた、採掘・加工プロジェクトの許可迅速化を促しているほか、内務省に連邦政府所有地での鉱物生産を優先するよう指示。
米地質調査所が重要鉱物と見なしていない銅と金についても、政府機関に生産拡大を支援するよう指示している。
ロイターは今月、トランプ氏が重要鉱物の国内生産を拡大する計画の一環として、国防総省の軍事基地内に金属精錬施設を建設することを目指していると報じた。
2人の関係者がロイターに語ったところによると、米産金大手ニューモントの元幹部デビッド・コプリー氏が、新設された国家エネルギー支配評議会の鉱業ポートフォリオの監督者に指名された。
コプリー氏は連邦政府で鉱業政策を策定する最高位の人物になるという。
トランプ氏は20日、ウクライナとの鉱物資源に関する協定に近く署名する見通しも示した。