FRB金利据え置き、年内0.5%利下げ予測維持 成長と物価双方を懸念

米連邦準備理事会(FRB)は18─19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置いた。2022年1月撮影(2025年 ロイター/Joshua Roberts)
[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は18─19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置いた。ただ、経済減速が見込まれる中、年内2回の利下げ見通しを維持した。
声明ではトランプ大統領が打ち出す関税については直接言及していないものの、同日発表した最新の経済・金利見通しでは関税による影響をにらみ、2025年の個人消費支出(PCE)価格指数見通しを2.7%と、前回12月時点の2.5%から上方修正した。同時に成長率見通しは前回の2.1%から1.7%に引き下げた。
政策金利については、政策担当者19人中9人が、25年末時点で3.75─4.00%の範囲になると予想した。年内1回の利下げが適切だとした当局者と、利下げすべきでないとした当局者はそれぞれ4人。2人は3回の利下げが適切との認識を示した。
FRB当局者はリスクが高まる中、年内の見通しは不透明という見解でおおむね一致。声明は「見通しを巡る不確実性は強まっている」とした。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、経済情勢について不確実性が「異例なほど高まっている」と指摘。「現在の金融政策スタンスは、われわれが直面しているリスクと不確実性に対処する上で十分」とし、「状況がより明確となるまで待つ」ことが現時点で適切なスタンスと述べた。
パウエル議長は、トランプ大統領の関税の影響が一因となり、インフレが上昇し始めているとし、インフレ抑制に向けた進展が今年鈍る可能性があるとした。
また、米関税がインフレに与える影響を精査すべきかどうかを判断するのは時期尚早で、物価上昇のどの程度が関税に起因するのかを判断するのは難しいと述べた。
同時に、最近のインフレと消費の高まりが関税と関連する可能性は高く、関税発動前に商品を購入する動きによって押し上げられた可能性があるという認識を示した。
パウエル議長はまた、ミシガン大消費者信頼感データを注視していると述べた。3月速報値では、消費者の5年先の期待インフレ率は関税を巡る懸念などから1993年以来の水準に急上昇した。
消費者心理の急激な悪化の一部は政治情勢の大きな変化を反映している可能性があるとしつつも、「経済に対する根本的な不満は物価水準によるところが大きい」という認識を示した。
インフレーション・インサイツのオマール・シャリフ氏は、FRBがトランプ政権による「経済政策の変化」を把握しようと苦難していると指摘。最新の経済見通しは「不確実性の高まり」を顕著に浮き彫りにしていると述べた。
FRBはまた、「量的引き締め(QT)」であるバランスシートの縮小ペースを4月から減速させる方針を示した。ウォラー理事は金利据え置きは支持したものの、バランスシート縮小ペースの減速には反対した。
LSEGによると、市場が織り込む年内の利下げ幅予想は0.5%強。6月利下げの確率は62.1%で、FOMC声明発表前の57%から上昇した。
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