投資銀行業界、関税不確実性でディール活性化遅れる見込み=モルガンS

市場の不安定化やトランプ米大統領の関税政策を巡る不確実性により、待望久しかった投資銀行業界の事業回復は従来の想定より遅れそうだ――。写真は、モルガン・スタンレー本社。2017年4月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
[13日 ロイター] - 市場の不安定化やトランプ米大統領の関税政策を巡る不確実性により、待望久しかった投資銀行業界の事業回復は従来の想定より遅れそうだ――。モルガン・スタンレーのアナリストチームは13日付ノートにこう記した。
昨年11月にトランプ氏が大統領選に勝利した時点では、規制緩和や減税への期待から今年は資本市場活動が盛り上がると予想されていた。
しかしそうした楽観ムードは今のところ、資本市場を活発化させていない。顧客が関税政策の不透明感を受けて様子見姿勢を保っているためだ。
同チームは「われわれは新しい現実に生きている。(トランプ氏の)連日にわたる関税『口撃』が企業トップや取締役会、ディールを検討したり交渉したり、実行したりしようとしているスポンサーの間に著しく不確実性を高めている」と指摘した。
こうした中で年初からこれまでの投資銀行案件の発表および契約完了件数は、予想を下回っているという。
モルガン・スタンレーは現段階で、資本市場活動は今年前半いっぱい低調にとどまり、より本格的に上向くのは第3・四半期になってからだと予想。この前提として、市場が関税問題でもっとはっきりとした全体像をつかみ、ボラティリティーが低下して景気後退懸念も落ち着く展開になることを挙げた。
もっともモルガン・スタンレーによると、独占禁止当局が「審査をじっくりと進めて対象も広げる」という姿勢からより伝統的な方式に戻ると見込まれる点もあり、ディール環境は依然として下支えされている。プライベートエクイティ(PE)企業の待機資金が4兆ドルに上ることも明るい要素だ。
アナリストチームは、関税絡みの不確実性の高まりは足元でピークを迎えている公算が大きいとの見方も示した。
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