トランプ米政権、大気・水質保護のための規制緩和へ

3月12日、トランプ米政権は、バイデン前政権下で導入された国内の発電所や自動車の排ガス規制の撤廃など、一連の規制緩和を発表した。写真は、石炭火力発電所から立ち上る噴煙。2024年10月、ユタ州ハンティントンで撮影(2025年 ロイター/Jim Urquhart)
Valerie Volcovici
[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米政権は12日、バイデン前政権下で導入された国内の発電所や自動車の排ガス規制の撤廃など、一連の規制緩和を発表した。
環境保護庁(EPA)の発表は、石炭から製造業までさまざまな産業を活性化し、石油や鉱物の生産を増やすために規制を大幅に緩和するというトランプ氏の政策方針に沿ったものとなる。ただ、大気や水質を保護し、気候変動対策として歴代大統領が課した環境規則を弱めることになる。
EPAのゼルディン長官は「きょうは米国の歴史上、規制緩和の最も重要な日だ」と述べた。
EPAは一連の発表で合計30件を超える規制緩和策を発表した。まず、水質浄化法の下で保護を受ける水路の定義を狭めると発表。この措置により、農業、鉱業、石油化学製品からの流出汚染に対する制限が緩和される可能性がある。
また、地球温暖化対策として発電所からの二酸化炭素排出量を削減することを目指すバイデン政権時代のクリーン発電所規則を見直すとともに、2027年モデル以降の大型・小型車の温室効果ガス排出基準を撤回すると発表した。
電力業界と運輸業界は米国の温室効果ガス排出量の約半分を占めており、バイデン前大統領の気候変動対策における取り組みで重要なターゲットとなっていた。
温室効果ガスの排出が公衆衛生を危険にさらすという09年の科学的調査結果を覆す措置を講じるとも述べた。この規定はこれまでのEPAの温室効果ガス規制の根幹をなすものとなっている。
オバマ政権下でEPA長官を務めたジーナ・マッカーシー氏は「環境保護庁史上最も悲惨な日」と語った。