ドイツ連銀総裁、債務拡大計画「正当化される」 複合的措置訴え

3月10日、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル総裁(写真)は、現在の異常事態を考慮すれば、次期政権与党が計画する債務拡大計画は正当化されるとしながらも、ドイツの成長は他の欧州連合(EU)諸国に後れを取っており、経済下支えには他にも多くの措置が必要だと述べた。写真はドイツのベルリンで撮影(2025 ロイター/Liesa Johannssen)
[ベルリン 10日 ロイター] - ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル総裁は10日、現在の異常事態を考慮すれば、次期政権与党が計画する債務拡大計画は正当化されるとしながらも、ドイツの成長は他の欧州連合(EU)諸国に後れを取っており、経済下支えには他にも多くの措置が必要だと述べた。
連立交渉中の政党は、防衛費増額と5000億ユーロ(5423億ドル)のインフラ基金の創設に向けて債務抑制規則の全面見直しで合意。緊縮財政の姿勢を取るドイツ政府としては歴史的な方針転換となった。
ナーゲル氏はベルリンでの講演で、この構想を直接支持しなかったものの、政府の借入制限を憲法で定めた「債務ブレーキ」の改革が必要だとし、「異例な状況では異例の財政措置も正当化される」と述べた。
ただ、支出だけで問題が解決するわけではないとし、政府は労働力供給の拡大、エネルギー部門の再編、官僚機構の削減、国内企業の税負担軽減に向けて措置を講じる必要があると指摘。
「借入余地の拡大だけではドイツの弱い成長の改善につながらない。原因は複雑で根深く、資金調達が主な焦点でないものも含めて一連の措置が必要だ」と述べた。