アングル:ユーロ急伸、対ドル等価割れの予想後退

外国為替相場でユーロが対ドルで急伸したことを受け、等価水準(パリティ、1ドル=1ユーロ)割れの見方が後退している。2022年5月撮影(2025年 ロイター/Pedro Nunes)
[ロンドン 5日 ロイター] - 外国為替相場でユーロが対ドルで急伸したことを受け、等価水準(パリティ、1ドル=1ユーロ)割れの見方が後退している。欧州での防衛費拡大に向けた動きや米経済減速懸念から、ドル売りユーロ買いの動きが強まったためだ。
対ドルでユーロ は直近3日間で3.1%上昇した。上昇率は2022年11月以来の大きさ。4カ月ぶりの高値水準となる1ユーロ=1.07ドルまでユーロ高が進んだ。
先週までユーロに対する弱気見通しを示していたドイツ銀行は、強気に転換。ラボバンクと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はパリティ割れの予想から、楽観的な見通しに転じた。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)マクロ戦略部門責任者ティム・グラフ氏は「パリティ割れはないと考えている。状況は完全に変わった」と言及した。ウクライナを巡る和平合意が実現すれば、エネルギーコスト縮小に伴い、欧州の景気を下支えするとの見方もある。
ユーロ上昇のきっかけは、ドイツで連立政権樹立への交渉の中、国内総生産(GDP)比1%を超える防衛費を債務管理の枠組みの対象から外す内容の憲法改正案と、5000億ユーロ(約5350億ドル)のインフラ基金の創設を打ち出したことだ。さらに、欧州連合(EU)欧州委員会は4日、欧州の防衛力強化に向けた防衛計画を提案。計画では、1500億ユーロを共同で借り入れ、EU各国政府に防衛資金として貸し付けることなどが盛り込まれた。
ラボバンクのシニア外為ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「米景気への懸念が米ドルの重しとなっている」とした上で、「ユーロを支える要因の変化はさらに劇的だ」と指摘した。ただ、トランプ米大統領はEUに25%の関税を課すと発言しており、市場では米国の関税措置を巡るリスクが依然あるとの指摘も出ている。
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