米商務長官、GDPから政府支出の除外を提言 専門家は批判
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ラトニック米商務長官は2日、国内総生産(GDP)統計から政府支出の項目をなくす考えを示した。資料写真、1月撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 2日 ロイター] - ラトニック米商務長官は2日、国内総生産(GDP)統計から政府支出の項目をなくす考えを示した。具体的な実施時期は示さなかった。
ラトニック氏はFOXニュースの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」でのインタビューで、「政府支出をGDPの一部としている。私はこの2つを分離し、透明化するつもりだ」と語った。
輸入関税や、大幅な歳出削減と大量解雇による政府縮小への取り組みなど、トランプ政権の政策が景気後退に陥らせることを懸念しているかとの質問には「ノー」と答えた。
連邦政府支出がGDPに占める割合は約6.5%。昨年第4・四半期GDP(年率換算で前期比2.3%増)には0.25%ポイント寄与したが、その大半は国防費だった。
ラトニック氏は、なぜ政府支出をGDPから外すのかについて「政府が戦車を買うのはGDPになるが、戦車購入の検討のために1000人に金を払うのはGDPではない」とし、それは「無駄遣い」と指摘した。
エコノミストからは、GDPの構成を変更すれば経済の健全性を明確に把握することが困難になり、他国と比較することもできず不確実性が増すとの声が出ている。
ロヨラ・メリーマウント大学のスン・ウォン・ソン教授(金融・経済学)は民間部門だけ見ても成長の全体像はわからないと指摘。「景気が減速したり、不況になると、政府は支出を増やす」と述べた。GDPから政府支出を除くと、GDPの計算上、政府の生産性がゼロと仮定されるため、数字が歪んでしまうと指摘した。