日銀企画局長に奥野氏、利上げ継続へ政策課長の経験重視との声
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日銀は3日、企画局長に奥野聡雄総務人事局長を起用すると発表した。同日付で理事に昇格した正木一博企画局長の後任。写真は1月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 3日 ロイター] - 日銀は3日、企画局長に奥野聡雄総務人事局長を起用すると発表した。同日付で理事に昇格した正木一博企画局長の後任。奥野新局長は利上げ継続に向けた実務を担う。奥野氏はかつて企画局の政策企画課長を正木氏から引き継いだことがあり、市場では金融政策の継続性の観点から奥野氏の実務経験が重視されたとの見方が出ている。
奥野氏は黒田東彦総裁時代の2017年6月、正木氏の後任として金融政策の企画立案を担う企画局政策企画課長に就任し、イールドカーブ・コントロール(YCC)の持続性強化と柔軟化に取り組んだ。こうした経緯から、日銀内でも早くから正木氏の後任の企画局長として奥野氏が有力視されていた。
市場でも「順当な人事ではないか」(東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト)との指摘が出ている。加藤氏は政策の継続性の観点から、政策企画課長の経験もある奥野氏が適任だったのではないかとの見方を示した。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移していけば、引き続き政策金利を引き上げ金融緩和度合いを調整していく方針。加藤氏は今回の人事で「今の日銀のスタンスに大きな変化が起きることはない」とみている。
同日付で、奥野氏の後任の総務人事局長には藤田研二金融市場局長、藤田氏の後任の金融市場局長には峯岸誠政策委員会室秘書役・政策委員会室秘書課長事務取扱がそれぞれ就任する。
●奥野 聡雄(おくの あきお)
1993年に東大法卒、日銀入行。金融市場局市場調節課長を経て2017年6月に企画局政策企画課長。19年6月まで務めた。24年4月に総務人事局長。北海道出身。55歳。
●藤田 研二(ふじた けんじ)
1992年に東大法卒、日銀入行。政策委員会室審議役(組織運営調整)を経て、2022年5月に金融市場局長。愛知県出身。55歳。
●峯岸 誠(みねぎし まこと)
1994年に一橋大法卒、日銀入行。金融機構局審議役を経て、2024年6月に政策委員会室秘書役・政策委員会室秘書課長事務取扱。神奈川県出身。54歳。