コラム

中国が日本制圧に要するミサイルは「647発」

2022年08月03日(水)11時25分
中国軍人

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<「お父さん、ミサイルは何発必要?」そんなジョークの裏に潜む軍拡中国の悪夢>

【想定】
中国人民解放軍の将官の家庭。息子が聞いた。

「ねえ、お父さん、オーストラリアを攻撃して制圧するには何発くらいのミサイルが必要なの?」

「そうだなあ。そんなことはよく分からないけれど、おそらく300発くらいじゃないかな」

「じゃあ、ドイツを制圧するためには?」

「どうだろう。もしかしたら、1000発以上は必要になるかもしれないね」

「ふうん。じゃあ日本は?」

父は間髪入れずに答えた。

「647発」

◇ ◇ ◇

息子の質問に対して詳細に即答する将官。どうやら日本に対する攻撃作戦は、随分と綿密に立てられているらしい。

「647発」どころか、現実はさらに厳しい。中国軍は既に日本全土を射程に収める中距離ミサイルを2000発ほど保有しているとされる。台湾有事の際、中国は日本国内にある米軍基地への先制ミサイル攻撃を想定しているともいわれる。

中国は最新鋭兵器、極超音速ミサイルの開発も進めている。マッハ5(音速の5倍)以上の速度で飛行し、複雑な軌道を描くこともできる極超音速ミサイルは、アメリカのミサイル防衛(MD)システムさえ回避できるという代物である。

そんな驚異的な進化を遂げる中国人民解放軍は陸軍、海軍、空軍、ロケット軍などから成り、中国共産党の指導下にある。つまり、「国軍」というより実際には「党の軍隊」とも言える。

一党独裁を続ける共産党の軍隊が世界最強になるという悪夢のような現実が、まさに刻々と近づいているのである。

中国における国防予算の膨張は世界中が危惧するところである。2022年の国防費は前年比7.1%増の約1兆4500億元(約26兆3000億円)。これは日本の防衛予算の実に4倍以上の額だ。

ウクライナ侵攻によって世界の目がロシアに向けられている今、中国は息を潜めながら各国の様子をうかがい、さらに力を蓄えている。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 5
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story