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長寿化は本来よいこと、日本は「老人」をどう扱うべき?
ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
<コロナ禍が残す最大の禍根は、人口問題への悪影響かもしれない>
【義父と嫁】
とある男女が結婚し、嫁は夫の両親と同居して暮らすことになった。
しかし、やがて義母が亡くなり、3人暮らしとなった。
他界した義母は嫁に優しい人だった。しかし、義父は頑固で意地の悪い性格だった。義父は嫁の行動にいちいち文句を付けた。
義父が言う。
「何だこのスープは? 婆さんが作っていたものとは全然味が違う!」
そんな日が毎日のように続いた。
ある日、とうとう耐え切れなくなった嫁は、義父に出すスープにこっそり殺虫剤を混ぜた。
すると、そのスープを一口すすった義父がこう言った。
「これじゃ、この味じゃ! 婆さんのスープは!」
日本でずっと言われ続けてきた少子高齢化。優秀な政治家や学者の皆さまがいろいろと議論しているはずだが、一向に改善される気配がない。
今回のコロナ禍によって、その傾向はさらに悪化するとのこと。厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2020年の出生数は約84万人、婚姻件数は約53万組で、いずれも戦後最少であったという。
コロナによる不安から、出産や結婚を控えた結果であろう。
東欧のルーマニアではかつて、ニコラエ・チャウシェスク率いるルーマニア共産党が「多産化政策」を断行。「45歳に満たない女性は子供を4人産むまで中絶してはならない」と定められ、違反者には半年から最高2年の懲役刑が科せられた。さらに、避妊具の使用が禁じられた。
そんな政策が招いたのは「捨て子の激増」だった。子供であふれた孤児院は、深刻な食料不足に陥った。
子供たちの栄養失調を補うため、大人の血液を輸血するようになったが、注射針の使い回しによりエイズが蔓延した。
日本がこんなSF小説のような顚末に陥るとは思わないが、人口政策はその加減が難しい。
ただし、日本は失敗を恐れすぎて、政策の「思いきり」がないようにも映る。
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