コラム

長寿化は本来よいこと、日本は「老人」をどう扱うべき?

2021年12月20日(月)19時20分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<コロナ禍が残す最大の禍根は、人口問題への悪影響かもしれない>

【義父と嫁】
とある男女が結婚し、嫁は夫の両親と同居して暮らすことになった。

しかし、やがて義母が亡くなり、3人暮らしとなった。

他界した義母は嫁に優しい人だった。しかし、義父は頑固で意地の悪い性格だった。義父は嫁の行動にいちいち文句を付けた。

義父が言う。

「何だこのスープは? 婆さんが作っていたものとは全然味が違う!」

そんな日が毎日のように続いた。

ある日、とうとう耐え切れなくなった嫁は、義父に出すスープにこっそり殺虫剤を混ぜた。

すると、そのスープを一口すすった義父がこう言った。

「これじゃ、この味じゃ! 婆さんのスープは!」

◇ ◇ ◇

日本でずっと言われ続けてきた少子高齢化。優秀な政治家や学者の皆さまがいろいろと議論しているはずだが、一向に改善される気配がない。

今回のコロナ禍によって、その傾向はさらに悪化するとのこと。厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2020年の出生数は約84万人、婚姻件数は約53万組で、いずれも戦後最少であったという。

コロナによる不安から、出産や結婚を控えた結果であろう。

東欧のルーマニアではかつて、ニコラエ・チャウシェスク率いるルーマニア共産党が「多産化政策」を断行。「45歳に満たない女性は子供を4人産むまで中絶してはならない」と定められ、違反者には半年から最高2年の懲役刑が科せられた。さらに、避妊具の使用が禁じられた。

そんな政策が招いたのは「捨て子の激増」だった。子供であふれた孤児院は、深刻な食料不足に陥った。

子供たちの栄養失調を補うため、大人の血液を輸血するようになったが、注射針の使い回しによりエイズが蔓延した。

日本がこんなSF小説のような顚末に陥るとは思わないが、人口政策はその加減が難しい。

ただし、日本は失敗を恐れすぎて、政策の「思いきり」がないようにも映る。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 5
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story