フランス政治は大混迷も、ルペンにとって2025年は厳しい年に...「壊し屋」の誤算と、腹心の裏切り
マクロンが大統領選を前倒しする可能性はあるか?
24年7月の総選挙の結果、過半数勢力が不在の国民議会は、憲法の規定で25年7月まで解散できない。混迷の中、エマニュエル・マクロン大統領は12月13日、中道のフランソワ・バイル新首相を任命。だが来年度予算案をはじめ、困難な課題が山積みの新政権は安定には程遠い。ルペンは政府・財政・制度・憲法にまたがる4重危機を引き起こした形だ。
ルペンの狙いは、国家的混乱の解決を名目に大統領選の前倒しを迫ることなのか。自身への判決が出る25年3月末より前に実施せよ、と。そのとおりなら、愚かもいいところだ。
現在の危機の責任はマクロンにある。24年6月の欧州議会選で与党連合が国民連合に大敗したことを受けて、マクロンは突然、国民議会の解散・総選挙を決めた。
現状に不満を抱く国民が、不満の元凶と見なす与党を(なぜか)支持してくれるだろうと、これまた愚かな期待を抱いたからだ。マクロンがまたも恥辱を覚悟し、自らの任期を2年間短縮しかねない賭けに出るとは思えない。
24年12月に政府を混乱に陥れたルペンは、既に「新年の目標」を達成し尽くしたのかもしれない。新しい年、ルペンが有罪判決を受け、政治活動を5年間禁じられる可能性は高い。さらにバルデラは明らかに、指導者の座を狙っている。
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