コラム

フランス政治は大混迷も、ルペンにとって2025年は厳しい年に...「壊し屋」の誤算と、腹心の裏切り

2025年01月04日(土)12時06分
汚職裁判を抱えるマリーヌ・ルペン

ELIOT BLONDETーABACAーREUTERS

<5年間の公職追放処分を科される可能性がある汚職裁判を抱えつつ政府を追い詰めるフランス政治の「壊し屋」──ピークはすでに過ぎたのか?>

フランス大統領への野望が砕ける──。極右政党、国民連合(旧国民戦線)の前党首で実質的な指導者、マリーヌ・ルペンにとって2025年はそんな年になるかもしれない。

ルペンは国民連合党員と共に、欧州議会議員当時に受け取った公設秘書給与計450万ユーロを流用した罪に問われている。25年3月末に言い渡される判決次第で、禁錮5年(執行猶予3年)と罰金30万ユーロ、しかも5年間の公職追放処分を科されることになりかねない。そうなれば、27年実施予定の大統領選への(4度目の)立候補は不可能だ。


さらに厄介なことに、ルペンの腹心の部下とされる国民連合のジョルダン・バルデラ党首は先頃、犯罪歴のある人物を党の公職選挙候補者として容認しないと発言した。汚職疑惑一掃に向けた取り組みだが、ルペン追い落としの意図もありそうだ。

ルペンは「座して待つ」ことはせず、政治をかき乱す動きに出た。国民議会(下院)は24年12月4日、右派のミシェル・バルニエ首相率いる少数連立内閣に対する不信任決議案を可決。左派連合の新人民戦線が提出した不信任案が可決したのは、国民連合が支持に回ったおかげだ。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

追加利下げのタイミングはインフレ動向次第=ウォラー

ワールド

トランプ氏、最高裁に量刑言い渡し延期を要請 不倫口

ワールド

グリーンランドは米国州にならず=デンマーク外相

ワールド

ウクライナ戦争の民間人死者数、1万2300人超=国
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 2
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 5
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    マクドナルド「多様性目標」を縮小へ...最高裁判決の…
  • 9
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 10
    英独の極右を支持して憎悪を煽るトランプの「右腕」…
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを拒否したのか?...「アンチ東大」の思想と歴史
  • 4
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 5
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 6
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 9
    空腹も運転免許も恋愛も別々...結合双生児の姉妹が公…
  • 10
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story