「片づけを諦めた」──アメリカ人の神「こんまり」の人間宣言の衝撃と「ときめき」の真髄とは?
近藤は神社で巫女(みこ)として5年ほど働いた経験があり、自分のアプローチの根底には神道の思想があると明言している。神道では、清潔さと整理整頓が重んじられる。
アメリカの多くのファンは、近藤の言葉にスピリチュアルな要素を感じ取り、そこに魅力を感じたのだろう。今回失望したファンがいたのは、自分たちの「神主様」が信仰を捨ててしまったように見えたからなのかもしれない。
1839年、アメリカの作家ヘンリー・デービッド・ソローは兄と共にボストン近郊の川をカヌーで下り、後にその経験に基づく著書を発表した。
ソローは、キリスト教思想と物質主義に異議を申し立て、自然と人間性の中に生きる意味を見いだすべきだと訴えた。人間は、日々の暮らしの中に幸せと生きがいを見いだせるというのだ。
この考え方は、アメリカ先住民の思想と、この時期にアメリカにもたらされた仏教と道教の思想にも影響を受けていた。この時代以降、アメリカの物質主義的傾向は和らぐことなく今日に至っている。
ソローと近藤のメッセージはいずれも、物質主義のストレスにさいなまれるアメリカ人の精神に訴えかけるものと言える。それでも、近藤が賢明だったのは、自身のメソッドを徹底するより(少なくとも差し当たりは)子供たちとの時間を優先したことだ。
わが家の納屋は、今も全く片づいていない。ガラクタを整理整頓するために貴重なエネルギーを費やすより、子供との時間を大切にしたいと、私も思う。
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