元CIA工作員が分析する2022年...中国は大人しくなるが、アメリカは揺れる
CYBRAIN/ISTOCK
<世界経済、外交、アメリカ、地球温暖化という4つのテーマの行方について、今年はどういった動きがあるかを予測する>
賢い人は自分が何も知らないことを知っている。195カ国で78億人超が暮らし、毎年約350万件の特許が出願されるこの世界は、国際情勢の変動要因があまりに大きい。とはいえ、工作員たるもの、地平線のかなたに何があるかを政策立案者に報告しなければならない。傲慢さは承知の上で、2022年の主要な情勢を予測しよう。
■世界経済
世界経済にとってよい1年になる。IMFの予測によると、22年の世界のGDP成長率は4.9%と堅調だ。
地球温暖化の影響で「100年に1度」レベルの暴風雨や山火事、ハリケーン、洪水などが増えているが、皮肉なことに、人災や自然災害は経済を刺激する。被害の復興や先送りになった成長を埋め合わせるために、強い需要が生み出されるからだ。
14世紀にペストが大流行してヨーロッパの人口の3分の1が死亡した後、(生き残った人々は)賃金と生活水準が上昇した。この2年、新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済のあらゆる部門をゆがめ、低迷させている。しかし、特にアメリカとEUは、歴史的に見ても巨額の現金(アメリカはGDPの10%以上、EUは7.5%以上)を自国の経済に投入している。
■外交
大国が国際社会を支配し、ネオファシズム的なポピュリズムが民主主義国家に圧力をかけ続ける。世界全体で、グローバリゼーションと移民がもたらす影響が民主主義を圧迫するだろう。
米中は数十年に及ぶであろう競争の時代に突入したが、中国は、この1年は国際情勢のある程度の安定を模索する。2月の北京冬季五輪や、習近平(シー・チンピン)国家主席の事実上の戴冠式となる10月の第20回中国共産党大会で、自らの輝かしいイメージを世界に誇示したいからだ。ロシアがウクライナに侵攻する可能性は低い。だが、軍事的な脅しや圧力をかけ続け、ウクライナ東部のより広い地域にその影響力と主権の主張を大っぴらに拡大するだろう。
新型コロナに有効なワクチンがあっても、ウイルスは右派と左派、富める者と貧しい者の分断を広げるはずだ。
■アメリカ
アメリカの政治的麻痺は悪化するかもしれない。秋の中間選挙で、民主党は連邦議会の過半数に届かない可能性が高い。その場合、バイデン米大統領の野心的な社会・経済投資の政策は大統領令に頼らざるを得なくなる。
一方で、アメリカは関係国との同盟関係を復活させる。インフラ投資がその経済と国際競争力を活性化させるだろう。ただし、社会の分断の深化と共和党のファシズム化で、歴史的な構造危機と大規模な社会的暴力が迫っている。
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