サウジ当局は9.11テロに関与したのか、20年目の捜査資料が語ること
サウジ政府の反論はおそらく真実だろう。サウジがアメリカに対するテロ活動を支援しても得るものはなく、失うものは大きい。それでも02年、ある米情報機関員はこう証言した。「(サウジの)治安機関の内部にアルカイダのシンパや過激派がいる可能性は高い」。開示された捜査資料はそれを裏付けた格好だ。
情報機関の人間は、テロ事件や事実関係の曖昧さ、二枚舌の情報源などに対処するすべを身に付けている。だが一般の人々は、悲劇を説明する明快な答えと単純な物語を求め、痛みと恐怖をもたらした悪役を探そうとするのが普通だ。
アメリカはサウジ当局とアルカイダの関係をさらに調査すべきだった。開示されたFBIの捜査資料には、物語の悪役に見える数人の人物に関する情報が含まれているが、明白な証拠は今回も出てこなかった。
この資料の内容は犠牲者の遺族をいら立たせるだろう。証拠が出てこないことは、20年前から百も承知だったのだが。
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
「トランプ大統領」の出現を19世紀に予見した男 2024.03.28
日本は尖閣沖の中国製漂流ブイを撤去せよ 2024.03.06
「ボストンを変えた」交響楽団に音楽監督として乗り込んだ小澤征爾が打ち破った上流社会の伝統 2024.02.28
まるで「対岸の花火」......日本人は金正恩の「ミサイル挑発」にどう向き合うべきか? 2024.02.06
フーシ派海賊攻撃と、国際秩序を不安定化させる「3体問題」 2024.01.23
もうEVに乗り換えるしかないのに、日本の「出遅れ感」と「痛恨のミス」が気になる... 2023.12.27