「息子が感染し、娘は職を失った」元CIA工作員のコロナ在宅日記
離れている家族や友人とは、週に1度か2度、ズーム(Zoom)かスカイプでバーチャルに食事をしたり、お茶をしたり。これが意外と楽しい。みんな毎日、けっこうハードに体を動かしている。私もすればいいのだが、こちらはひたすらギターを爪弾くのみ。でも家庭菜園は広げた。なかなか買い物には行けないし、そもそも自分で育てた野菜のほうが安心できるからだ。
消毒は徹底している。宅配で届けてもらう食材その他は、全て玄関口への「置き配」にしてもらっている。漂白剤を水で薄めた消毒液で洗うまでは、絶対に家の中に入れない。郵便物も雑誌も、卵のケースも缶詰もだ。洗ったら何時間も放置し、ウイルスが死滅するのを待つ。外出時に着た服も持ち込まず、玄関に置いておく。何かに触れた後は必ず手を洗い、ドアの取っ手や郵便受けも入念に洗浄する。
新型ウイルスのせいで米失業率は15%近くになったというが、わが家も6人家族で1人が失業中だから、この数字には妙に実感がある。そして家族の1人が感染した。でも、この程度で済むとは思えない。妻も私も憂えている。全米で現在8万5000人とされる死亡者も、そんなものでは済まないだろう。大統領のドナルド・トランプがこのウイルスを見くびり、経済活動の「再開」に猪突猛進しているからだ。
<本誌2020年5月26日号掲載>
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