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日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由
(写真はイメージです) Talaj-Shutterstock.
<バリアフリーを要求する車椅子利用者を「わがまま」と非難する背景には、障害者を助けるのは「善意」からなので、それ以上を求めるべきではないという考え方がある。だが今は、その考え方にパラダイムシフトが求められている>
3月15日、「車椅子インフルエンサー」として活動している中嶋涼子氏が、イオンシネマで映画館スタッフの介助を得て映画を観たところ、観賞後、責任者に今後の利用を断られ、悔しかったことをSNSに投稿した。イオンシネマは翌日、従業員の不適切な対応についてホームページ上で謝罪した。ところがその後、SNSでは中嶋涼子氏に対するバッシングが巻き起こった。
近年、事業者のバリアフリー対応について公然と批判する障害者は、世間からの謂れのない攻撃に晒されている。4月からは障害者差別解消法に基づいて、障害者に対する「合理的配慮の提供」が義務化される。社会で進んでいくバリアフリー政策と、人々の意識のギャップが大きく開いていることについて、懸念すべきではないだろうか。
<関連記事>車いすユーザーの声は「わがまま」なのか? 当事者に車いす席の知られざる実態を聞く
中嶋涼子氏が告発したイオンシネマの対応
3月15日、中嶋氏は通常よりも高価なプレミアムシートに座ることができる「グランシアター」の席を購入して映画を鑑賞した。「グランシアター」には車椅子用の席はなく、購入した席までは段差があったため、車椅子利用者の中嶋氏は映画館のスタッフに移動を手伝ってもらったという。こうした対応はこれまでも何度か行われてきたようだが、観賞後に中嶋氏は、「支配人みたいな人」に「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので」と今後の利用を断られた。これまで何度もスタッフの手伝いにより問題なく映画を鑑賞できていた中嶋氏はそのことを伝えたが、対応が変わることはなかったという。
中嶋氏は「なんかすごく悔しくて悲しくてトイレで泣いた」「なんでいきなりダメになるんだろう! 悲しさを通り越して今は行き場のない怒りに変わってきた」と書き込み、このポストに対して様々な反応が生じた。イオンシネマは3月16日、ホームページにて謝罪し、「従業員へのお客さま対応の教育再徹底と再発防止策を講じると共に、設備の改善を進め、お客さまの信頼回復に努めて参ります」と表明した。
SNSで発生した「ものを言う障害者」はバッシング対象に
しかしイオンシネマの謝罪をもって事態は終息しなかった。SNSでは中嶋氏に対する苛烈なバッシングが続いている。「車椅子用の席がある映画館に行けばよかった」「車椅子用の席がないグランシアターで鑑賞したいというのはワガママ」「映画館のスタッフがかわいそうだ」「事故が起きたらどうするんだ」「介助してもらっている立場なのに偉そうだ」「感謝の気持ちがない」など、様々な批判コメントが寄せられた。
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