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ウクライナ危機でロシア寄りの立場を取り続けるドイツの右翼
今では密接な付き合いはないとみられているが、一時期プーチン大統領に影響を与えているといわれていた思想家に、アレクサンドル・ドゥーギンがいる。このドゥーギンこそ、かつてのドイツの右翼思想をベースに、現代のロシアでユーラシア主義(ネオ・ユーラシア主義)を実現しようとした人物なのであった。ドゥーギンは「保守革命」の思想家たち、たとえば、エルンスト・ニーキッシュやカール・シュミット、あるいは上述のハウスホーファーらの理論を参照しており、ドイツの新右翼とはいわば従兄弟同士のようなものなのだ。
もちろん現在のプーチン政権の外交政策が、ドゥーギンの思想の影響下にあるといってしまえば、言い過ぎであろう。たとえばドゥーギンはハウスホーファーのように日本との連携を主張し、そのためには北方領土を返還すべきだとまで述べるのだが、プーチン政権に北方領土を返還する気がないことは明白だ。
とはいえ、プーチン大統領の外交政策の念頭には「ユーラシア」があることにもまた間違いはない。彼は中国との連携について「大ユーラシア・パートナーシップ」と呼び、「ユーラシア連合」を通して旧ソ連諸国への影響力を強めようとしている。専門家からは拡大ユーラシア戦略と呼ばれるこうした一連の動きは、ある面ではユーラシア主義者のそれであり、同種の思想を持つ者たちを引き付けるのだ。
国際政治を動かすイデオロギー
AfDの対ロシア戦略は、何か打算があってのことというよりは、こうしたイデオロギー的な連続性に基づいて決断されているといえるだろう。ネオナチともつながりがあるAfDは、現在、議会において孤立している。連携する野党もない。従って、彼らの思想が(幸いにして?)直ちにドイツ外交に影響を与えることはない。
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