国際知的交流委員会(CIC)日本委員会
CIC=Committee on Intellectual Correspondence

アメリカ外交問題評議会、ベルリン高等研究所、サントリー文化財団の三者が主体となり、ツァイト財団、笹川平和財団の協力のもとに運営された。ポスト・イデオロギーの時代にあって世界中の知識人が他国の文化的・知的な問題について学んだり読んだりできる文化的環境の実現を目指し、世界の代表的な出版社・雑誌編集者にニューズレターを送付していた。

「WEBアステイオン」では『アステイオン』全号の目次と『アステイオン』掲載論考から生まれた書籍も紹介しています。

1.アステイオンとは?

アステイオンとはアステイオンとは

◎ギリシャの昔、都市(AΣTY)は、ただ雑踏と喧騒のではなかった。法と数字の観念だけのでもなかった。蒼穹のもと石造りの孤立を誇りながら、それは人間のたぎりたつ情熱を煮詰め、澄んで輝くイメージへと昇華させる蒸留釜であった。
都会らしさ(AΣTEION)とは、なまの感情の沸騰でもなく、硬直したイデオロギーの観念でもなく、その中間にあって、柔らかくものを思い、心にかたちをあたえる想像力の働きをいう。粗野な生命力を美しく洗いあげ、やぼなこわばりを機智によって突き崩し、人の遊びと慎みの両方へ誘いつつ、創造的な会話を楽しませる精神のことである。
◎いま、イデオロギーの時代が去り、狂熱的な固執と抗争の時代が去り、大衆化の混沌からも人びとが一歩を踏み出そうとしているとき、21世紀の創造力の都市をめざし、新しい知と情と行動の洗練(AΣTEION)を夢見て、ここにひとつの国際的な会話の舞台を提供したいと思う。

山崎正和氏が創刊に際して書いた巻頭言

『アステイオン』が1986年に発刊されて38年が経ち、100号を迎えました。インターネット上では玉石混交の様々な言説が飛び交う環境の下、雑誌ジャーナリズムはその存在意義そのものが問われています。『アステイオン』も新たな試みに挑戦しなければなりませんが、「鋭く感じ、柔らかく考える」という発刊以来の精神はいささかも揺るぎません。

開かれた「言論のアリーナ」の役割を維持し、「冷戦後の時代」が終わり新たな課題が噴出している今、洗練された輿論の形成に貢献したいと考えています。こういった当誌の志に賛同するすべての人々のご協力を願っています。

アステイオン編集委員会委員⻑ 田所 昌幸

2.アステイオンの変遷

発行:TBSブリタニカ

1季刊『アステイオン』創刊

1986.7

編集: サントリー文化財団・生活文化研究所

【編集長】粕谷一希

【編集委員】高坂正堯、森口親司、山崎正和、蠟山昌一、
ダニエル・ベル、ハーバート・パッシン

1号

21

1991.7

編集: アステイオン編集部

【編集長】粕谷一希

【編集委員】北岡伸一、竹中平蔵、三浦雅士
ハーバート・パッシン、ダニエル・ベル

21号

32

1994.4

【編集人】奥村啓三

【編集顧問】粕谷一希

33号
34号

40

1996.4

【編集人】奥村啓三

44

1997.4

【編集人】工口陽介

46

1997.5

【編集人】伊藤譲

50

1998.10

51年2回発行に

1999.4

編者: 国際知的交流委員会(CIC)日本委員会
(56号のみ編者にサントリー文化財団も参加)

【国際知的交流委員会】ダニエル・ベル、ヴォルフ・レペニース、
山崎正和、マーク・リラ、マイケル・ベッカー、田所昌幸

【日本委員会委員】山崎正和田所昌幸、杉原薫、松原隆一郎、
鷲田清一

51号

58

2002.12

【国際知的交流委員会】ダニエル・ベル、ヴォルフ・レペニース、山崎正和
アレクサンデル・スティレ、マイケル・ベッカー、田所昌幸

【日本委員会委員】山崎正和田所昌幸、杉原薫、松原隆一郎、鷲田清一

発行:阪急コミュニケーションズ

59

2003.7

60

2004.3

【国際知的交流委員会】ダニエル・ベル、ヴォルフ・レペニース、山崎正和
アレクサンデル・スティレ、田所昌幸

【日本委員会委員】山崎正和田所昌幸、ロバート・D・エルドリッヂ、彦谷貴子

61

2004.11

編者:アステイオン編集委員会

【編集委員】山崎正和田所昌幸

【編集顧問】ダニエル・ベル、ヴォルフ・レペニース

61号
70号

75

2011.10

編者:公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会

【編集委員】山崎正和田所昌幸

76

発行:CCCメディアハウス

81

2014.11

81号

83

94

2021.12

「WEBアステイオン」を開設
(運営:WEBアステイオン編集部
[株式会社CCCメディアハウス、公益財団法人サントリー文化財団])

95号

100創刊100号を迎える

2024.5

これまでの寄稿者はのべ2700名を超える。

100号

編集:公益財団サントリー文化財団
   アステイオン編集委員会

発行:株式会社CCCメディアハウス

3.アステイオンをもっと知る

アステイオンに関する記事を紹介します

思想

崩れゆく文明と知識人の役割...『アステイオン』が論じてきたこと

佐伯啓思(京都大学 人と社会の未来研究院特任教授)
2024.11.13
座談会

AIと人間を隔てるのは「身体性」...コンサートホールで体を震わせることこそ「人間的」だと言える理由

片山杜秀 + 三浦雅士 + 田所昌幸(構成:置塩 文)
2024.10.09
座談会

「日本人は100年後まで通用するものを作ってきた」...「失われた何十年」言説の不安がもたらした文化への影響とは?

片山杜秀 + 三浦雅士 + 田所昌幸(構成:置塩 文)
2024.10.09
座談会

「21世紀の首都圏はがらんどう」...サントリーホールが生まれた1980年代を振り返る

片山杜秀 + 三浦雅士 + 田所昌幸(構成:置塩 文)
2024.10.09
アステイオン

「都会らしさ」の来歴と今後──『アステイオン』の38年

苅部 直(東京大学法学部教授)
2024.10.02
論壇

「論壇誌」と言い張ってきた日々と耳の痛い話、そして「WEBアステイオン」

小林 薫(『アステイオン』編集担当)
2022.02.22
座談会

面白さも正確さも諦めない──アカデミック・ジャーナリズムの可能性

梯 久美子+山本昭宏+武田 徹 構成:村瀬 啓(東京大学大学院総合文化研究科 博士課程)
2022.02.10
座談会

人柄と語り口が武器になる時代──「ネット論壇」は本当に可能か

大内悟史+小林佑基+鈴木英生+田所昌幸+武田 徹
2022.01.21
座談会

総合雑誌から新書、そしてネットフリックスへ──拡大し続ける「論壇」

大内悟史+小林佑基+鈴木英生+田所昌幸+武田 徹
2022.01.21
座談会

池内恵、細谷雄一、待鳥聡史が語り合った「山崎正和論」〈1周忌〉

池内恵+細谷雄一+待鳥聡史(アステイオン編集委員会)
2021.08.19
言論

現在の論壇はイデオロギーから脱却しすぎて著者の顔が見えなくなっている

猪木武徳(大阪大学名誉教授)※「アステイオン」ウェブサイトより転載
2021.08.04
中国

「今、何が問題か」と問われれば、ただちに「中国」と答える

三浦雅士(文芸評論家)※「アステイオン」ウェブサイトより転載
2021.07.14
未来

想像の未来とその向こうの今

堀江秀史(東京大学大学院総合文化研究科助教・2016年度、2017年度鳥井フェロー)
2020.05.29
メディア

歓迎すべき変化? マスメディア時代から「小さな公共圏」時代へ

周東美材(日本体育大学准教授)※アステイオンより提供
2018.01.16
メディア

「ポスト冷戦期」を見届けた後

池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター准教授)※アステイオン創刊30周年ベスト論文選より転載
2017.12.26
歴史

冷戦後の世界と、新しく過渡的だった平成という時代

鈴村裕輔(法政大学社会学部兼任講師)※アステイオンより提供
2017.12.25
対談

鋭く感じ、柔らかく考えてきた三十年 特別企画 vol. 084

山崎正和+苅部 直
2016.06.16
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