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私がふだんどおりに話すと、別に笑いをとりたいわけではないのに、「オモシロいですね」と言われることがある。穏やかに話しているつもりでも、「押しが強いですね」と言われるし、「オッサンっぽいね」という評価を頂戴したこともある。
そういえば、仕事を多めに抱えているときには「山本君はがめついからね~」と言われたこともあった。
ちなみに私がこれまで住んだのは、奈良県桜井市、京都市上京区、兵庫県西宮市の3カ所だけで、いわゆる「大阪人」だと自己規定したことは一度もない。「関西人」であることは間違いないけれども、「大阪人」のイメージを負わされることにちょっと戸惑うときがある。
では、「大阪人」のイメージと言えば、どのようなものだろうか。おもろい、がめつい、ど根性、ガラが悪いところもあるかもしれないが情に厚い──こんなところだろうか。
安くておいしい店が多い、雑然としているが活気があるという都市イメージを加えれば、大阪イメージが出来上がる。そして、メディアや街頭で聴こえてくる関西弁の響きが、こうしたイメージを補強し続けている。
当然、これらのイメージはステレオタイプであって必ずしも実態に即しているわけではない。おもしろくない大阪人、がめつくない大阪人、情の薄い大阪人もたくさんいる。大阪にだってキレイで高級な場所がある。当たり前のことである。
これらを承知のうえで、私たちは大阪や大阪人のステレオタイプを楽しんでいるというのが実情なのだろう。
それはそれで構わないとしても、気になることがある。大阪に関する強固なステレオタイプは、いつごろ、どのように形成されたのだろうか。
この問いを解きほぐすために共同研究を始めたのが2021年。ようやく今年、『河内と船場:メディア文化にみる大阪イメージ』(ミネルヴァ書房、2025年)として、その成果をまとめることができた。
大阪イメージを考えるにあたって、私たちが注目したポイントは3つあった。第一に、「河内と船場」に注目すること。第二に、高度経済成長期を対象とすること。第三に、メディア文化を分析することである。