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偶然ではない? 「男兄弟のみの家庭では次に生まれる子も男の可能性が高い」という調査結果
実際に使われている代表的な男女産み分け法には、男児になるためのY染色体を持つY精子と、女児になるためのX染色体を持つX精子の活動しやすい水素イオン濃度(PH)が違うことを使って、腟内の酸性、アルカリ性をコントロールするものがあります。
X精子は寿命が2〜3日と比較的長く、酸性の環境に強いのに対して、Y精子は寿命が1日と短く、アルカリ性の環境に強いとされています。そこで、①産み分けゼリーを使って、腟内を酸性あるいはアルカリ性にする、②腟内は、通常は酸性で排卵日が近くなるとアルカリ性に傾くことを利用して、タイミングを見計らって性交をする、などの方法が編み出されました。もっとも、これらの方法の産み分けの成功率は50~60%程度という報告もあり、確実ではありません。
男女産み分けをするために酸性やアルカリ性の食物を摂っても、①食事で人間の体液が酸性やアルカリ性に傾くのは一時的であること、②人には体内のPHを一定に保とうとする働きがあることより、女性の膣内の水素イオン濃度を食事内容で調整することは難しいと考えられています。
しかし、食事による産み分けは近年も盛んに研究されており、たとえば、英エクセター大の研究チームは08年、初産婦の食生活のデータから、妊娠期間中にカロリーをより多く摂っていたグループやミネラルを幅広く摂取していたグループでは男児が多い、などの研究成果を発表しています。
ほぼ100%可能な方法は着床前診断だけ
さらに、化学物質の曝露による二次性比への影響の研究も進んでいます。これまでに、水俣病の原因となったメチル水銀が母親の体内に取り込まれたり、ダイオキシンが父親の体内に取り込まれたりすることで、出生時の男児の割合が減少したことが報告されています。
男女産み分けを望むケースには、性染色体上にある遺伝子異常による遺伝病を防ぎたい場合もあります。たとえばX染色体に病気を引き起こす遺伝子がある場合、女子は性染色体がXXなので、正常なX染色体の遺伝子に補われるために基本的に発症しませんが、男子はXYなので補えずに発症してしまいます。
現在、男女産み分けがほぼ100%可能な方法は、着床前診断だけとされています。これは体外受精で受精卵を作り、ある程度成長したら子宮に移植する前に一部を採取して染色体の本数や構造に異常がないかを調べる検査です。性染色体の種類も分かるので、希望する性の受精卵だけを子宮に戻すことも理論上は可能です。ただし日本では一般的な検査ではなく、受精卵を操作するリスクや異常が見つかった場合の取り扱いなど、倫理面の議論が慎重に勧められています。
男ばかりの兄弟、女ばかりの姉妹を持つ家庭の謎の解明が進めば、健康面や倫理面に対してより安全で安心な男女産み分けの研究につながるかもしれません。
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