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あくびをする動物──ヒト、ライオン、ジュゴン──と謎だらけの「あくびの科学」
あくび伝染は、ヒト以外の動物でも起こります。
確認されているのはチンパンジー、ボノボなどの霊長類やイヌなどで、いずれも社会性の高い動物です。チンパンジーでは、自分の所属するグループの個体のしたあくびのほうが、他のグループの個体のあくびよりも伝染しやすいことも観察されました。群れの中でメスのほうがオスよりも優位なことで知られるボノボは、オスよりもメスのあくびのほうが他の個体に伝染しやすいという結果も出ています。
伊ピサ大の研究チームは2021年、南アフリカのマカラリ動物保護区にいるライオンの群れで、あくびがうつっていることを発見しました。別の個体があくびをする様子を見たライオンが3分以内に自分もあくびをする確率は、それ以外の状態からのあくびより139倍も高くなることが分かりました。さらに、あくびを真似したライオンは、元のライオンがあくびの後にした行動も真似をする確率が11倍も高いことも発見しました。研究チームは「あくびの伝染は、ライオンの群れの社会的結束を維持するために重要である可能性がある」と指摘しています。
とはいえ、ヒトの集団では上司や先輩の前で自分が率先してあくびをしてしまったら、社会コミュニケーションの契機となるどころか、相当バツの悪い思いをしそうです。
意図しない場であくびが出そうになったときは、舌で上唇を舐めれば止めることができます。この記事を読み終えて、あくびが出た方はぜひ試してみてください。
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