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OpenAIとMicrosoftの蜜月は終わった?
Ascannio-Shutterstock
<AI業界の勢力図が急速に変動か──OpenAIが企業向けプランを発表し、従来のパートナーであったMicrosoftとの関係に変化の兆しが>
*エクサウィザーズ AI新聞から転載
ChatGPTを開発したOpenAIが、自社開発のAIモデルのセキュリティ面などを大手企業向けに強化させた「企業向けプラン(Enterprise Plan)」を発表した。これまでOpenAIは基本的な技術を開発し、それに追加機能を加えて発売するのは、OpenAIの大株主でありパートナー企業であるMicrosoftの役割だった。いわばOpenAIがメーカー、Microsoftは小売店という関係であり、メーカーは直販店を作って小売店の邪魔をしない、というような関係に思われていた。そういう強力なスクラムを組むことで、OpenAIとMicrosoftは宿敵Googleに対抗する。AIの業界勢力図をそう読む意見が主流だった。ところがメーカーであるOpenAIが、小売店のMicrosoftの企業向けプランと同等の商品の直販を始めたわけだ。OpenAIとMicorosoftのスクラム状態にひびが入り始めたのだろうか。
今回の発表だけを見れば、OpenAIが一方的に不義理を働いているように見えるかもしれないが、実はその前にMicrosoft側が不義理とも言える動きに出ている。OpenAIのAIモデルの強力なライバルであるMeta(旧Facebook)のオープンソースのAIモデルの取り扱いを始めたのだ。OpenAIのAIモデルは今のところ技術的に業界の最高峰とみなされているが、Metaのモデルは一定のユーザー数まで無料で利用、改良できるので、セキュリティ面を考慮して独自のAIモデルを持ちたい大企業などがMetaのモデルを利用し改良し始めた。この動きに、Microsoftはすぐさま対応、同社のクラウドサービスAzure上でOpenAIのモデルに加えて、Metaのモデルの提供も始めた。いわば1つのメーカーの製品だけを専門に売っていた小売店が競合するメーカーの製品も取り扱い始めたようなものだ。
当初、MicrosoftとMetaは優先的パートナーシップを結んだと発表したので、OpenAI、Microsoft、Metaの3社連合ができたかのように解釈する人がいた。Googleは窮地に追い込まれたように見えたわけだ。しかし実際にはMetaは、Microsoftに続いて、AmazonにもAIモデルを提供。さらには今回、GoogleにもAIモデルを提供、クラウド大手3社との等距離外交に入ったようだ。
さすがにGoogleがGoogleクラウド上でOpenAIのモデルを提供してはいないが、OpenAI、Microsoft連合対Googleという単純な図式は終わったようだ。AIの急速な進化を受けて、昨日の友が今日の敵にもなりかねない。最終的には頼れるのは自分だけ。最近のテック大手の動きを見ていると、そんな風に思えてきた。
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