コラム

「バカにされよう。主流はこっちだ」デジハリ杉山学長が考えるAI時代の教育とは

2018年02月16日(金)12時30分

高校生に届けたいメッセージがある、と言うデジタルハリウッド大学の杉山知之学長(右) 筆者撮影

AI新聞からの転載

合理的思考では、AIが人間を超える時代。そんな時代に人間はどのようなスキルを身につければいいのだろうか。またそうしたスキルを身に付けるために、教育はどのようにあるべきのだろうか。ITの進化を見通し、牽引してきたデジタルハリウッド大学の杉山知之学長にこうした質問をぶつけてみた。まずは杉山氏の歴史観をうかがった上で、後半部分で教育のあり方について切り込んでみた。

──教育についてうかがいたいのですが、まずは杉山さんが、現状と今後をどのように認識されているのかを伺わせてください。AIをどう捉えてますか?

杉山 1990年くらいにコンピューターはいずれAIになっていくんだろうなと考えていました。そしてAIがだれにでも使えるレベルになれば、人類は次のレベルに行けるんじゃないかとも思っていました。そういう意味ではものすごく大きな流れですね。ちょっとした流行りの技術ではないと思います。

──AIがコンピューティングの最終形になりそうだということですか?

杉山 最終形かどうかは分からないけど、MITでの経験から人工知能というものには向かっていくだろうと確信していました。

──シンギュラリティってどう捉えてますか?

杉山 単純に通過点としか見ていないですね。全人類の知能を、たった1秒間あたり1000ドルのコストでコンピューティングが超える時点。今の進化の速度なら、2045年にその時期を迎える。それだけですね。

──AIが意思を持つようになると思いますか?

杉山 それは、だれも分からない。僕はなかなかそこまで行かないようには思ってます。ロボットに自意識を持っているように振る舞わせることは簡単。でも自意識を持っているように見えることと、実際に自意識を持っていることは、まったく違うので。

──人間はサイボーグになっていきますか?

杉山 いろいろなデバイスを体内に埋め込みたい人はそうするんだろうな、と思っています。周りにも、そのような望みを持っている人はけっこういますが。

──全員がそうなるとは思わない?

杉山 そうは思わないですね。機械と融合したくないと言う人が、かなりの数いるだろうと思っていますし、それは自然なことだと感じます。

──賃金労働がなくなり、ベーシックインカムをもらって好きなことをする時代になるという指摘については、どう思います?

杉山 その方向には進んでますよね。それですべて解決というわけではないですが。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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