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「中国の妨害工作や訓練か」と専門家...台湾で相次ぐ「海底ケーブル」切断の真相は?
フェイスブックとマイクロソフトによる大西洋の海底ケーブルを敷設する作業を行う作業員(スペイン、2017年6月) Vincent West-Reuters
<台湾本島と離島を結ぶ海底ケーブルの切断については、本当に事故だったのかを怪しむ声が専門家からも上がっている>
先月、台湾から不穏なニュースが報じられた。
台湾メディアの報道では、2月に入って、台湾の本島と離島を結んでいる通信用の海底ケーブ2本が相次いで切断されたという。
この2本の切断事件は、2月2日に台湾本島と馬祖列島を繋ぐ海底ケーブルが中国の漁船によって切断され、その6日後には中国の貨物船が別の海底ケーブルを切断した。この通信ケーブルはインターネットの通信を可能にしているもので、離島などでインターネットの使用がかなり制限されることになった。
■【動画】島国である日本で、もしも海底ケーブルが切断されたら...そのリスクは?
使用制限と言ってもピンとこないかもしれないが、住民の話では、テキストのメッセージを送信するのに10分もかかるという。しかもホテルの予約サイトなどもまともに機能していないし、ビジネスにも大きな影響を与えている。
しかも修理には時間がかかるようで、修理船の手配の関係で最短で4月20日まで修理はできないという。それまではマイクロ波通信で対処していくことになり、通信スピードなどネット接続が大幅に制限される。
しかも修理費用には、65万ドル(約8800万円)以上かかる可能性がある。もちろん、中国側がこれを補償してくれるはずがない。そもそも、切断との関与すら否定するだろう。
これは台湾だけの問題ではない。世界のインターネット通信は、95%ほどが海底ケーブルを通って行われている。海底ケーブルは、光ファイバーのケーブルで、その名の通り、海の底に敷かれて大陸間を繋いで、インターネット通信を運んでいる。2020年12月の時点で、世界では475本の海底ケーブルが使われている。
インターネットが使えなくなると、国や地域の生活や経済に大変な影響を与えるわけで、安全保障の問題になるのは言うまでもない。となると、国につながる海底ケーブルが切断されると、国家の危機にもつながるような事態を招く可能性がある。しかも、海底ケーブルがどこに敷設されているのかは、オンラインでも簡単に情報が手に入るほどオープンになっている。狙いを定めることも出来なくはないのだ。
単なる事故ではないとの見方も
日本も、海底ケーブルが遮断されるようなことがあれば、インターネット通信網に混乱をきたすだろう。
今回の台湾での切断事件は、単なる事故ではないとの見方もある。実は、台湾本島と馬祖列島の通信を支えている海底ケーブルは、ここ5年の間に、切断など20件以上の故障が発生している。この頻度は他の地域の海底ケーブルと比べても断然多い。
そう考えると、切断が本当に事故だったのかに疑問符が付く。
アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の研究員で、英オックスフォード大学の客員研究員でもあるエリザベス・ブラウ氏は、「このケーブル切断事件は、中国による標的型の妨害行為か、または、台湾のインターネット接続を遮断するための訓練であるとも考えられる」と述べる。
今回の台湾における海底ケーブル切断事件と、海底ケーブルそのものについては、「スパイチャンネル~山田敏弘」で解説しているので、ぜひご覧いただきたい。
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