コラム

日本の国民と財産を守るセキュリティ・クリアランス、なぜ高市大臣しかやる気がない?

2022年10月08日(土)17時34分

中国スパイから国民の生命・財産を守ることに

アメリカなどでは、トップシークレットの資格を持っている元情報機関の職員などが、資格を保持したまま民間に転職することも多い。そして、政府や防衛産業との橋渡しになったり、安全保障面でのアドバイスをしており、国益につながるビジネスや研究を守ろうとしている。

日本では、中国との共同研究や、中国からの知的財産などを狙ったスパイ工作も活発なために、民間企業にも研究者などにも、きちんとした資格を与えることが国民の生命・財産を守ることになる。

このように見ていくと、セキュリティ・クリアランス制度を導入しない理由は見当たらないようにも思えるが、日本では一部から「個人情報の保護」の観点で慎重論も出ている。また、日本政府は現在、中国をあまり刺激したくないようなので、そんなことから高市大臣は最近、この制度を日本に導入すべく突っ走っている感があると言っていいだろう。

セキュリティ・クリアランスについては、「スパイチャンネル~山田敏弘」で解説しているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。

プロフィール

山田敏弘

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。クーリエ・ジャポンITメディア・ビジネスオンライン、ニューズウィーク日本版、Forbes JAPANなどのサイトでコラム連載中。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』、『CIAスパイ養成官』、『サイバー戦争の今』、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』、『死体格差 異状死17万人の衝撃』。最新刊は『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』。
twitter.com/yamadajour
YouTube「スパイチャンネル」
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