韓国大統領の弾劾裁判騒動に思う、「大統領降ろし」という当然の権利
そしてもう1つ、現代の韓国国民の意識に大きく影響を与えているのが1960年の四月革命と80年の光州事件だ。
四月革命では韓国で独裁政治に反対する民衆運動が起こり、李承晩大統領が辞任に追い込まれた政治運動。光州事件は80年5月18日から27日にかけて光州市を中心に発生した市民による軍事政権に対する民主化要求の蜂起だ。いずれも政治権力に対する国民の闘争で、国民としての権利を勝ち得た経緯がある。後にヒットした映画や小説の題材にもなり、いまだに国民の胸を熱くさせる。
こうした背景もあり、今回の尹大統領の弾劾を支持して国民が強く声を上げることには私も違和感がなかったのだが、最近のデモから見えてくる変化は新鮮に感じる。若い世代の参加率が非常に高いのだ。これも日本とは少し違った政治の風景だろう。
私が大学生だった20年ほど前は、デモに対する認識はそれほどなかった。学生の中でも政治学専攻の学生らが市民団体や偏った姿勢のメディアと一緒になって、政権に対するデモを行うことが多かった。