コラム

日本では有名人は「神様」なのか?...ミーハーな行動「一緒に写真を撮ってもいいですか」がジョージアでは通じなかった歴史的背景

2025年01月09日(木)15時10分
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

ミーハーな行動とは分かりつつも、その超有名俳優との出会いのチャンスを逃すまいと、「一緒に写真を撮ってもいいですか?」とお願いした。すると、その俳優は「外国人なのに、ジョージア語がうまいね」と言って、快く応じてくれた。

どうやらそんなことをお願いするのは外国人だけであり、写真を一緒に撮ってほしいとジョージア人に頼まれることは、まずないようだ。


なぜ、ジョージア人は有名人と遭遇しても騒がないのか? それは12世紀頃から「人間みな平等」の思想が根付いていたことにあると考えている。

それによると人は「みな神の子」であり平等である。すなわち精神、あるいは内面でこそ、その人の価値を測るべきだというキリスト教的な考え方に基づく。従って、人は有名かどうかでは判断されない。

たまたまその人が有名なのであって、それが優れた人間であるということとはイコールではない。そういった感覚がジョージアでは共有されているのだ。

「出る杭(くい)打たれる」ではないが、日本では自分だけがほかの人よりも目立つことはよしとされない。だからこそ、目立つ人間は「選ばれし者」として、脚光を浴びてきたという逆説もあるのではないだろうか。

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