コラム

日本は女性差別を撤廃すべきだが、外圧で皇室典範の改正を求めるのは間違い

2024年12月07日(土)18時28分
西村カリン(ジャーナリスト)

TOMOHIRO OHSUMIーPOOLーSOPA IMAGESーREUTERS

<日本政府に対する国連の女性差別撤廃委員会の勧告には強く賛成できるところも、反対したいところもある>

日本は1985年に、女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃する条約(女性差別撤廃条約)を批准した。それ以来、日本政府は国連に対し、定期的に実施状況の報告書を提出することになっている。

今年10月末、9回目の日本政府報告に対して、国連の女性差別撤廃委員会が総括所見(勧告)を発表した。委員会の質問への政府の回答を読んだところ、評価できるところがあるのは事実だが、違和感のあるところもあった。同じように、委員会の総括所見の中には強く賛成できるところもあれば、反対したい部分もある。


ここ数年の日本で、法改正によって女性差別問題が改善されたのは、女性にのみ設けられていた再婚禁止期間の廃止や、レイプが合意のない性行為と定義されたことなどがある。そういった進歩は委員会も評価しているが、今は全く進んでいない部分に注目すべきだろう。

1つは選択的夫婦別姓。日本政府は「国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める」と強調しているけれど、与党の自民党は具体的に何もしてこなかった。10月の総選挙の結果、野党が強くなり、ようやく進展が見られそうだが、やはり動きは遅い。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アルゼンチンがWHO脱退へ、「深い相違」と説明 米

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、1月52.8に低下 需要

ワールド

米郵政公社、中国小包の受け取り継続へ 一時停止から

ビジネス

米1月ADP民間雇用、18.3万人増 予想上回る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 8
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 9
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story