ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオススメしません
チェーン店は多様な食文化を破壊する
チェーン店は儲かるかもしれないが、多様な食文化を破壊する。そして火鍋チェーン店は、若い中国人が日本文化に触れるチャンスまでつぶしている。
日本にもチェーン店は多いが、素晴らしい料理を提供する小さなレストランも少なくない。何十年も夫婦だけで店を切り盛りしている町中華もその1つだ。日本のそんな食文化を経験しないなんてもったいなさすぎる。
一方、「本場の料理だ」とガチ中華をありがたがる日本人に対しても、私は警鐘を鳴らしたい。だって、辛ければ本場の味というわけではないし、激辛の食べすぎは体にもよくないですよ?
どうせ中華を食べるなら、北京ダックや広東の飲茶、四川の麻婆豆腐といった、中国各地の特色ある一品を味わってもらいたい。上海蟹(がに)が有名な上海料理は、全般的に味付けがあっさりしていて日本人の口にも合うと思う。
世界一の美食都市である東京には、腕のいい料理人が厨房に立つ本格中華の店がたくさんある。それこそ中国人も認める「本物のガチ中華」だが、日本語が通じないなんてこともない。日本の皆さん、こっちの中華で「ガチ」を感じてみませんか。
そんなことを書いていたらおなかが鳴ってしまった。ここらで筆をおき「本物のガチ中華」を食べに行ってきます。
巣鴨の「大吉縁」、神宮前の「東坡」、銀座の「四季陸氏厨房」、新宿の「礼華」......。さてさて、今夜はどこで腹を満たそうか。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。