国際化すればするほど、「空気」を読めなくなった日本人
同様に、私の妻も私の曖昧な話し方を非常に嫌がる。イランでは常に相手を立てることが礼儀とされ、空腹でもまずは相手に「お腹(なか)すかない?」と聞く。相手は、この人はお腹がすいたんだなと感じ、空腹でなくても「お腹すいたね」と答える。
「何を食べたい?」「なんでもいいよ、あなたは何を食べたい?」「あなたの食べたいものを食べよう」こういった会話が延々と続く。
このやりとりを妻は、時間の無駄だと言う。だから私が空腹で「お腹すいていない?」と聞いても妻は「すいていない」と答えるし、なぜ「お腹すいた、〇〇が食べたい」とストレートに言えないのかと怒る。
日本も変わってきたなぁと感じるのである。よいことも悪いこともやんわりとオブラートに包んだようにして伝える、常に相手の気持ちを慮(おもんぱか)り自己主張しない、そういう日本文化も私は好きだ。
だがそれが必要以上の同調主義や忖度を生み、特に女性のみにそういった気遣いを言外に求め、補助的な役割を担わせられがちだったのかもしれないと思うと、ローコンテクスト化は日本社会の成熟化には必要な過程なのかもしれない。皆さんはどう思いますか?
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」 Twitter:@IshinoShahran
2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む
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