もう「安全な国」でなくなった日本が、若者を「自助」で追い詰める危険さ
日本で事件を起こすのは、無職の人が多い気がする。一時の状況であっても仕事がなければ社会に参加できず、ほぼ「非社会人」の状態になってしまう。仕事がない原因はさまざまだから、「ゴミ。捨てていい。何もできない人間だから」と結論付けるのは間違いだ。でも日本では人生のパターンが決まっていて、その道をうまく進めない人は社会から追い出されるリスクが高い。
そのうえ政府が「自助」を強調すれば、社会にSOSを出すために他人を殺そう、と思ってしまう若者が出てきてもおかしくない。国は「まず自助」ではなく、真逆のメッセージをできるだけ早く出すべきだ。それは「何か悩みがあったら、直ちに相談してください。社会と国が君を助けるから」ということ。
つまり「まず自助、次は共助、最後に公助」と順番をつけるのではなく、「自助・共助・公助」を同時に動かしてほしい。時間がないのだから。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
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