日本の感染拡大の一因は「飲み会文化」
写真はイメージです AzmanL-iStock.
<日本政府の無能無策ぶりが、もちろん最大の原因だろう。ただ、酔えば誰しも判断力が低下し、3密回避やマスク着用もどこかに行ってしまう。なぜ日本人はお酒を「自粛」できないのか>
東京・新橋駅前にあるSL広場は、テレビ番組のインタビューで定番の場所だ。
飲み会帰りのサラリーマンをつかまえて話を聞けば、カメラに向かって面白いコメントを言ってくれる。大体みんな酔っぱらっているので、口をついて出てくるのはおおよそ本音だ。
酔っぱらいの街・新橋。近くに住む友人が、「禁酒令」発令後も多くの人が缶ビール片手に路上で飲んでいると、目撃情報を送ってくれた。
自粛が得意な日本人も、お酒に関する自粛は難しいのかもしれない。
今年1月、私はこんな書き出しのコラムを書いた。
「2度目の緊急事態宣言が出された。だが、これで感染拡大を封じ込められるのだろうか。政治家も国民も真剣さが足りないように思う」
(「密輸」中国製ワクチンを打つ日本の富裕層... 自己中だらけでコロナに勝てるの?)
まさか4カ月近く後に「3度目の緊急事態宣言が......」と書くことになろうとは思いもしなかった。
今、状況はむしろ悪化の一途をたどっている。変異ウイルスが猛威を振るい、感染者も死者も増える一方で、近場の観光地は人出が減らず、街では人々が路上で飲んでいる。
日本政府の対応は中途半端かつ後手後手になっており、ワクチン接種率も諸外国に大きく後れを取ったままだ。
こんなことなら、もっと早い段階からロックダウン(都市封鎖)や中国式の厳しい制限を実施すべきではなかったか。民主国家の日本は国民に強制することができないのだとは分かっていたが、たとえ「人権軽視」と批判されても強制的な対策を取るべきではなかったか。
感染拡大の最大の原因は、そんな政府の無能無策ぶりだろう。
ただ、今回の緊急事態宣言で出された「禁酒令」に対する世間の反応を見て、私はこう思った。もしかすると日本人の「飲み会好き」も感染対策の足を引っ張っているのかもしれない、と。
中国人ももちろん酒が好きだが、仕事帰りに同僚と一杯引っかけるような習慣はあまりない。宴会や接待は盛んだが、客をもてなすため、あるいは相手を酔わせて判断を鈍らせるための酒席が多い。
後は週末に仲の良い友人を自宅に招いて飲むくらいだ。
だから日本人が、なぜこれほど「飲み会好き」なのか、ずっと不思議に思っていた。
夜、同僚や友人と行くのは決まって、大勢で食べて飲める居酒屋。そして皆、必ずと言っていいほど酔っぱらう。
日本で星の数ほど酔っぱらいを見てきたが、紹興酒発祥の地、浙江省紹興市で生まれ育ち、酒に強い私はいつも「なぜ弱いのに酔いつぶれるまで飲むのか」と疑問に思っていた。