コラム

韓国「父姓主義」への違和感と日本の夫婦別姓問題

2020年11月14日(土)14時20分
李 娜兀(リ・ナオル)

ただ、今はどの国においても男女がより平等になり、また家族や夫婦の在り方について多様性を認める方向に社会が変化していくのが大きな流れだ。姓の問題もそうした状況に合わせ、個人の選択肢を広げる方向で制度を変えていくのが筋だと思う。

そう考えると「選択的夫婦別姓」をめぐる日本の変化は、随分遅い。法相の諮問機関である法制審議会が、別姓制度の導入を最初に答申したのが1996年だという。今年の1月の朝日新聞の全国世論調査によると、別姓制度への賛成が69%、反対が24%、特に50歳以下の女性は8割以上が賛成だ。最近では、橋本聖子・男女共同参画担当相が、別姓制度を「前向きに検討する」と述べたとも報じられた。

夫婦別姓制度の是非は日本国民が決めるべきことだ。しかし24年間も議論を続け、世論調査で7割の支持があり、閣僚も「前向きだ」と言っているなら、もう制度を変える客観的な条件がそろっているように見えるのだが、間違っているだろうか。

magTokyoEye_Lee.jpg李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。

<2020年11月17日号掲載>

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