上が決めたら徹底的に......日本の脱ハンコとデジタル化は強引すぎ?
確かに、情報が地球の反対側まで数秒で届く時代に、押印してもらうために官僚が大臣の執務室前で早朝から何時間も待つ、というのは非常にナンセンスだ。新型コロナウイルスの感染者数の報告を東京都は各保健所からファクスで集めている、という話を4月に外国人に話しても誰も信じてくれなかった。私だって信じられなかった。
日本のデジタル化は、確かに他の先進国と比べて非常に遅れていると言わざるを得ない。文化も大事だし、個人情報はたぶんもっと大事だが、どちらも守りつつデジタル化を進めていく道はあるはずだ。
始めてみることもせず、マイナス点ばかり並べ立ててきたのも日本的だし、始めるとなったら十分な議論も尽くさずにルールも曖昧なまま、脱ハンコ・デジタル化という旗の下に強引に進めるのもまた非常に日本的である。
ちょうどよい程度というのが日本にはない。裏を返せば、やるとなったら徹底的にやる、上が決めたことには素直に従うのも、また日本的である。はてさて日本がどのくらい徹底的にデザインされた最先端のデジタル化を達成できるのか。私は大いに期待している。
<本誌2020年10月27日号掲載>
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら